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第309話 係

【斗織Side】 遼を膝に抱えてベッドに腰掛ける。 俺は普通に前向きに座らせるつもりだったんだが…… 「斗織っ、お風呂気持ちよかったね。チュッ」 横向きに腰を下ろした遼は、首に腕を回して頬に唇を押し当ててきた。 「あ、そーだ。ね、斗織。チュッ。お茶会ってどんな感じなの?皆で座ってお茶飲むの?…チュッ」 耳に、首筋に、喋りながら唇を這わせる。 「なんだよ、ヤリ足んねェの?」 鼻をきゅっと摘むと驚いたようで、目を瞬かせ、拗ねたように視線を逸らした。 「……やだ?」 「んなワケねェだろ」 「じゃあ俺はもっとする係で、斗織は答える係ね。ちゅっ」 なんだその係制度は……、学校か。 一瞬小突いてやろうかとも思ったが、見上げる笑顔が頗る幸せそうだったから……我慢することにする。つか、つられて顔がニヤけたじゃねェか。 やっぱりデコを指で弾いてやった。 「お茶会初めってのは、厳かな祭りみてェなもんだ。茶室に全参加者集めて、その中心で家元が点てる。俺や他の先生方はアシスタントみたいな仕事で、」 「全参加者って?」 遮るように口を挟んでも訊きたかったのは多分、昨年俺達を振り回したあの女もいたのか…って、そんなとこだろう。 「自由参加のお弟子さん達や、関係者って言ったとこか」 「……そ…か…」 「ああ、ちなみにあの探偵雇った奴な、あっちの母親がもう俺に習わせんの嫌だってんで、上の組に移動させたらしいぞ」 「えっ…?そんなこと出来んの?」 「特例でな。両親(りょうおや)の前で俺が貶した…つか、コイツじゃ勃たねェっつーような事言ったから、うちの母親も断わり切れなかったんだろ」 「っ! 斗織、中学生の女の子にそんな事言ったの!?」 「しょーがねェだろ。そんぐらい言わねェと納得させらんなかっただろうし、事実もうお前じゃなきゃ勃たねェんだから」 「ふわわ…っ」 首に回されてた腕が離れた。 遼は赤く染まりゆく頬を両手で包み込み、唇を小さく奮わせる。 そんな驚くようなこと言ったか? こんぐれーならいつも言ってる気がすっけどな。 「………とーるぅ…」 「おぉっ、お前また何処でスイッチ入った?」 欲情してうるうると濡れる瞳に危機感を覚える。 俺はいい。俺は体力もあるし、まだ二~三回はイケる気がする。 けど、問題はこの、すっかりヤル気の遼の方だ。 体力も無ェし、そのくせ負担の大きい側の役割。 これ以上ヤッたら潰れる。 第一、俺は新学期が始まるまでこれから毎日来るつもりなんだぞ。 逢えばそりゃ、抱きたくもなるってもんだろ。 明日はお預けとか、そんなんは御免だ。 今日だけしか一緒に居られないならちょっとぐらい無理しても……いや、やっぱりそれでもダメだろ。 夜は夕飯作って、聖一郎さんのために朝早く起きて朝飯と弁当まで用意してんだから。 そんな事を考えてこっちは遠慮してヤッてるっつーのに、遼は「ちゅ~ぅ」と言うなりヤラシイキスを仕掛けてくる。 唇を割って舌を忍ばせ俺の舌に絡ませると、徐ろに腹から股関へと手を這わせてきた。 指先で場所を確かめるように擽ると、掌で全体を柔く刺激する。 鼻で息をすれば風呂上がりの遼の匂いが吸い込まれて…… 合わさる唇の僅かに開いた隙間から漏れる熱く甘い吐息、時折混じる喘ぎ声─── 遼の存在を間近に感じれば、 いやでもソコは昂ぶっていく。 「……とおる、きもちい?」 ちゅっと音を立て、名残惜しそうに離れゆく唇。 目で頷いて髪を撫でると、濡れて艶めいた唇の端が持ち上がった。 「……ふふっ。それじゃあ、いただきますっ」

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