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第321話 リューガの悩みごと

【竜臥Side】 2月某日。 クラブハウスのドアの前、キョロキョロと辺りを見回す。 誰にも付けられてないことを確認して、素早く部屋に進入した。 中から鍵を掛け、ホッと息を吐き出し、ベンチに腰を下ろす。 ここは野球部の部室だ。 俺の入ってる軟式野球同好会には部室なんて大層なもんは無いから、硬式野球部の部長やってる村田から鍵を貸してもらった。 今日は硬式野球部の活動は休みだから、ここに用事のある部員もいない筈だ。 暫くすると、コンコンと外からドアをノックされた。 「誰だ?」 「遼司です」 曇ガラスに透ける姿は、たしかにリョーちんのもんだ。 けど、まだ安心するわけにはいかない。 「周り、誰も居ないか?」 「え?………うん、いないみたい」 周辺を探る動作を確認して、薄くドアを開いた。 「リョーちん、ダッシュ!」 「えっ、はいっ!」 同じように2人目のひろたんも迎え入れて、また俺はしっかりと鍵を掛けた。

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