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第329話 最強
場所云々もそうだけど、漏れ聞こえる声を聞いては余計な口を挿んでくる斗織からも、逃げてきたつもりだったんだけど……。
当たり前のようについてきて、隣に座ると自分の膝をぽんぽんと叩いてみせるイケメン彼氏様(ちょっとヤキモチ焼き)。
……電話中にエロいことされたら嫌なんですけど…
口元からスマホを離して小声で「ヘンなことしない?」と訊ねれば、
「さあな」
ニヤリと笑われた。
「じゃあ座んない」
なんかすっごく危機感覚えるもん。
「電話の邪魔したらお兄ちゃんに言いつけるからね」
半分冗談で言ってみれば、思った以上に効果があったらしい。
斗織はビクッと肩を震わせおとなしくなった。顔もなんだか強張ってる。
ま~たこの人可愛いことしてきてー……仕様がないな。後で電話切ったら甘やかしてあげよう。
「で、しーくんは、急に黙り込んじゃったりしてどうしたの?」
『っ…いや、……なぁ? あー……、マジで?』
「じゃあ、候補上げてくんで良いとこで止めて下さい」
『はっ!? 待てっ、りょ…』
「俺に会いたくないんですかー?」
『逢いたいですっ!!』
「じゃ、はじめまーす」
まだ納得いってない様子だけど、いつまでもしーくんに付き合ってらんない。ご飯が冷たくなっちゃう。
斗織が部活の日と、木曜日を除いて羅列する。
本当は斗織と2人で過ごしたい時間だけど仕方ない。しーくんにも共有させてあげる。
「……と、来週まではそんな感じ」
『んー……、じゃあ、放課後のが都合いいから……』
はっきりとは口に出さなかったけど、土日でドカンと時間が取れる日は嫌だったみたいだ。
放課後、授業が終わった後にちょろっと会うことになった。
……まあ、初めて会う幼馴染みの恋人と3人で。……緊張するか。
斗織、人によっては態度悪いしなぁ。
対中山みたいにならないといいけど。
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