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第330話 甘やかす日

「さ、ご飯作りに戻らないと」 通話を切って立ち上がろうとしたら、横からグッと腰を引き寄せられた。 「肉、中だから平気だろ」 決して明解とは言いがたいその言葉は、ベッドへのお誘いらしい。 本当は早くご飯を済ませて、その後にまったりしたかったんだけど……。 まあいいか。可愛いこの人を甘やかしてあげようって思ったばかりだし。 しーくんの存在に、自分じゃ抑えられない感情が噴き出して来ちゃってるんだろう。 嫉妬とかヤキモチとか、俺は斗織一筋だから、全然必要ない感情なんだけど。 でも、焼いてくれるの、悪い気はしない。 俺だって、斗織の立場だったらきっと心配になっちゃうだろうしね。 「う~ん……、けど、挿入は禁止で」 譲歩してオッケー出してるのに、不本意と言わんばかりに眉根を寄せる斗織。 「あ? なんでだよ?」 いつもは気遣ってくれるくせに、実はなかなかに焦っていたらしい。 暗黙の約束、すっかり忘れちゃってる。 「明日は体育があります。走り高跳びだって」 「……だっけか。じゃあ、お前だけイッとくか」 「ひゃぁっ! だめ! 俺も斗織イかせるっ」 いきなりちん◯んムギュッてされた……!! ずるい! 俺も、と握り返そうと馬乗りになったのだけれど、 「なら、お前も頑張んな。オラッ」 すぐにひっくり返され、体にのしかかられる。 「んッ!! ……ずっるーい! 押さえつけんの禁止! 俺、斗織に力で敵わないの知ってんだろ!」 「フッ…、力の差を思い知れ」 「もう存分に思い知ってるっての! …ふゃんっ」 マウント取られたまま良いように弄ばれた俺の体はあっという間にぐったり体力切れで……… 反省した斗織が、自分は家に帰らなきゃなのにお風呂に入れてくれたり、乱れたベッドを整えてくれたり。 甘やかす筈がやっぱり結局甘やかされて、俺はまた父さんが仕事から帰る前に眠ってしまったのだった。

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