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第334話 強面と金髪

「……りょーじ…? りょーじくん…?  ………なんでお前この状況で食べ続けることが出来んだよーっ!?」 待ち合わせ場所から目と鼻の先、地下のスイーツ食べ放題。 次々と甘いケーキを口に運ぶ俺の姿に、ずっと物言いたげにしてたしーくん。とうとう堪え切れなくなったみたいで、急におっきい声を上げた。 「んー? でも途中サラダも挿んでるし、アイスティーで口の中さっぱりするし」 「そーゆーこと言ってんじゃありません!」 自分だって、カレーやパスタまで持ってきてんじゃん。そっちのがガッツリ食べる予定じゃん。 俺、お昼お弁当食べたから、もうご飯はお腹いっぱいだもん。 「あ、そっか。食べ放題してったら夕飯入らなくなっちゃうね。おばちゃんにちゃんと連絡入れておきなよ」 「おっ、そーだ。ヤベーヤベー。母ちゃんにドヤされるとこだっ……じゃねーの! そうじゃなくて!」 じゃあ、なんだろ? 男3人でスイーツは目立ってしょうがない。恥ずかしいってこと? んー……、まぁね。これが、ひろたんとリューガくんと3人だったら、まだ店内の雰囲気に馴染めたのにねぇ。強面の斗織と、金髪のしーくんじゃなぁ……。 でも、スイーツを美味しく感じる心は男女で変わらないわけだし、そんなこと気にしてお店に来られない方がよっぽど辛い! 勿体無い! 「俺は限界まで食べるよ!」 「俺もはち切れるまで食ってく」 「いやいやっ、それは、まあどうぞ! そこは俺的には問題じゃねーんだけど!」 「しーくんもお替わり取り行ってくれば? 時間は待ってくれないよ」 「おっ、ヤベ! あと何分?───じゃなくて!」 取りに行くなら一緒にアイスティーのお替わりお願いしようと思ったのに、一人大騒ぎのしーくんは立ち上がりかけて何に気付いたのかまた腰を据えてしまう。 ちぇーっ、仕方ない。自分で取り行くか……、とまだケーキがこんもりのお皿にフォークを置こうとすれば、 「遼、飲みもんお替わりいるか?」 斗織が自分の空のグラスを持って立ち上がった。 「あっ、いいの? じゃあアイスティーお願い」 「おー」 「ありがとっ」 流石斗織 俺のこと分かってくれてる! 「見た見たっ? あれが俺の自慢のカレシ!」 「あ……、うん……、そっすね……」 なんだその薄い反応は! 「あ、しーくん、これ美味しいよ。いちごタルト。後でもう一個取ってこよ」 「あー……、だからな? りょーじ……」 「ん?」 「フォークを咥えての上目遣いヤメテッッ!」 「はぁ??」 「じゃなくて! なんでスイーツ食べ放題来てんの、俺たち!?」

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