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第335話 紅い宝石
『なんでスイーツ食べ放題来てんの!?』
しーくんの疑問の答えは、しーくんからチョコくれメッセが来てやり取りした、あの後の斗織と俺との会話にある。
『遼、幼馴染みとは何処で会うことにしたんだ?』
『あっ、決めてないや。しーくん、今何処に住んでんだろ?』
『新宿でいいんじゃねェの? 何処からだって楽に来られんだろ』
『うん。じゃあ新宿で送っとくね』
『学校終わったらダッシュで来いっつっとけ』
『はぁい』
『……そう言や、お前の誕生日で行ったブッフェより駅寄りに、甘いのの食い放題あんだと。結構安いとこ』
『えっ! 行きたい!』
『じゃあついでに寄ってくか』
『うん! 折角だから3人で食べよう』
「と言う訳で、俺達は今ここでスイーツに舌鼓を打っているのでした。まる」
「まるって…! くぅぅ~っ、可愛いな! さすが俺の天使っ!」
いやいや、しーくんなに気持ち悪いこと言ってんの?
俺が誰かの天使ってんなら、迷う事なく斗織の天使だし。
……って、そもそも斗織は俺のこと天使なんて思ってないっての。恥ずかし……
斗織は俺の王子様だけどね。
「遼、ほら、紅茶」
そんなことを考えてたら、俺の王子様がアイスティーを淹れて戻ってきてくれた。
「ありがと」
「ん。それと、そっちもう食い終わんだろ? 残ったの移して、これ食っとけ」
「えっ? あっ……」
斗織は俺の目の前のお皿を持ち上げて、残ってたロールケーキを持ってきた新しいお皿にコロンと転がした。空になったお皿を手にしたまま、ケーキでいっぱいのお皿を目の前に戻してくれる。
「あ、ありがとっ」
お礼を聞くと、自分のも取ってくる、と席を離れていった。
所狭しとお皿に並べられた無数のケーキ。
決して見目良く置かれてるわけじゃないけど……
「ふわわっ、一気に持って来られなくて2回目に取ってこようと思ってたものばっか!」
サラダ別皿に取ってきてくれてるし!
俺、サラダ挿まないと甘い物いっぱい食べられない人だって口に出してないのに。斗織、すごい!
それになにより、その中心に鎮座した紅い宝石。
「ねっ、ねっ、しーくん! 斗織ってばかっこ良すぎない!?」
俺が2個目も食べたいと思ってたいちごタルト!
なんで分かるの!?
千里眼なの!?
やっぱり俺の王子様は斗織しかいません!!
「あ~、カッコいい! 美味しい!」
いちごタルトにパクついた俺にしーくんは微妙な視線を送ってくるけど、そんなん気になりません!
だって俺たち、付き合ってまだ2ヶ月だもん。
今が一番の盛り上がりどころ。
て言っても、自分の気持ちが下がるなんてこと、これからも想像できないけどね。
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