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第337話 目の前のイケメン
【静馬Side】
りょーじがトイレに立って、席には男二人が残された。…って、りょーじも男だったっけ。可愛いからつい女子扱いしちまうな。
…………ホント可愛く育っちまって。
なのに他の男に取られるなんてさ! もったいない……もったいない……
───にしても、
気まずい………………
絶対こーいう空気になるから一緒に行くって言ったのに、
「テメェ、遼のち◯こ見るつもりだろ」
そう決めつけられて、阻止された。
(そりゃ見られんなら見てみてーけど……)
「もぉ、とーる! 外でそういうこと言わないの。しーくんがそんなことする筈ないだろ。それに、こういうトコのトイレは大体個室なの。
しーくんも、行きたいなら俺の後にして下さい」
2人纏めて怒られて、取り残された。
なんとなく目を合わせづらくて俯いて皿を突付いてると、前の席で動く気配。
じっと見られてる気がする………
「オイ、しーくん」
「しーくんて!!」
その顔で! 俺よりデカイ図体してしーくんて!!
「遼がそう呼んでんだろ」
「りょーじはそうしか呼べないからそう呼んでんの! 溝呂木 静馬 。しずまな。そっちは? ナニとーる君?」
「羽崎 斗織 」
静馬か……、なるほどな。
そう呟くとーる君は、りょーじの舌足らずを理解してるんだろう。
「遼、幸せそうだろ。……安心したか?」
目を合わせずにそう訊かれて、一瞬意味が分からなくて間が空いた。
「……んだよ。認めらんねェか?」
「いやいやっ、俺じゃねーから! 会いたいっつったんそっちだろ」
「あー……だっけか」
なにこの人!?
実は何気に天然なの!?
「まあいい。ともかく遼は俺が一生面倒見るから安心しろ。余計なちょっかいかけんじゃねェぞ」
一生って…!!
えれーデケーこと言い出したぞ、とーる君!
……まあ詰まるとこ、俺にちょっかいかけんじゃねぇって直接言いたかっただけなんだろうな。
つか、俺より僅かにイケメンだし? 俺より僅かに背ぇ高いし? 俺より僅かにりょーじに好かれてるっぽいし……
「あーあ……、チョコももらえねーし、俺の天使にいつの間にか番犬ついてっしー……」
「フッ…、災難だったな」
「お前が言うなっ!」
何このイケメン!?
性格悪くね!?
笑ってもイケメンはイケメンとかやってらんなくね!?
しかもナニその笑い方!!
高校生やんねーから!
フッ…とか笑わねーから!
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