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第341話 強い想い
初めて作ったフォンダンショコラだったけど、みんな綺麗に美味しそうに焼き上げることが出来た。
最後のリューガくんの分は、オーブンが温まり過ぎちゃってるからちょっと冷ましてから……と思ってたんだけど、生地が型に入るまで結構時間が掛かって反対に調度良い温度になっていたから、時間調整せずすぐに焼くことが出来た。
ひろたんは家でもお手伝いしてるだけあって安心の包丁使い。
リューガくんは意外!……って言ったら失礼なんだけど。卵を割るのがすっごく上手だった。片手でカンポーンって。
卵かけご飯が好きでよく食べるんだけど、その時そうやって割ってみせると弟妹が喜ぶから、上手く割れるように練習したんだって。
下の子想いのお兄ちゃん。リューガくん、好感度高い!
ラッピングを済ませた後は、昨日のうちに作っておいたガトーショコラを皆で食べた。
2ホール焼いたんだけど、うち1ホールを6等分に切り分けて、今居る5人と父さんの分。
もう1ホールは大和お兄ちゃんのお宅の分。
ガトーショコラは1日2日置いた方がしっとり美味しくなるから、この後皆を送るついでにお届けして、明日のおやつにでも食べてもらえたら嬉しいな。
あ、でも芽衣さんもチョコを用意してるだろうから、明後日でも大丈夫。日持ちしますよって伝えよう。
ラッピングしてる間は見ちゃだめって言っておいたから、斗織はおとなしくテレビに向かってゲームをしてくれてた。
「リョー君、パソコンとプリンタ借りてい? インク使って平気?」
リューガくんのクッキング中、マナちゃん先生にそう訊かれて、仕事かな? 暇してるからかも。深く考えずに、どうぞと返事した。
そしたら、初めに撮ったそれぞれワンショットのエプロン写真を、持参したフォト用紙にプリントアウトしてくれてて……
俺たちは、その写真をメッセージカードに同封して、ラッピングに潜ませてリボンで結んだ。
ちょっと恥ずかしいけど、それやられて嫌な男は、あの3人の中にはいない筈!
カメラアプリで撮ったから、いつもと違う。赤いほっぺ、普段より大きな目、ピンクの唇。
うさ耳の俺、くま耳のひろたん、悪魔(って言うより小悪魔)のリューガくん。
元々童顔女顔のひろたんに、不本意ながら中性的な容姿の俺、最近前髪下ろして更に可愛くなってるリューガくん。
皆……女の子に見えなくもない。アプリ凄い。
マナちゃん先生はかわいー! って喜んでるけど、俺達にしてみたらちょっと………微妙。
カードに書いたメッセージは、斗織にはまだナイショ。
真剣にラブメッセを書き込む俺たちをチラチラ気にしてたみたいだけど、まだ教えてあげない。
明日、プレゼントと一緒に告白するから、待ってて。
軽いフリした重い気持ち。
もしそれを他の人に言ったとしたら、どうしよう、そこまで考えてないのに、って思われちゃうかもしれない。
だけど斗織なら、絶対受け止めてくれる、俺の強い想い。
『斗織のことが大好きです。
もう3ヶ月なんて言わないよ。
ずっと、ずっとずーっと
俺の側にいてください。
遼より』
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