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第351話 やりやがった

「お、遼、それからコレな」 俺の涙を返せ(実際には泣いてないけど)と文句を言いたくなる切り替えの早さで、斗織は自分の鞄をごそごそ。 中から茶色いチューブを取り出した。 差し出されたのは、……チョコレートソース? 「えっと……なに?くれるの?」 「いや。俺が貰う」 「………??」 斗織さん、意味分かんないっす。 「まあ取り敢えず、横になれ」 正面から脇に手を差し込んで抱き上げられて、ベッドに寝かせられた。 ………うん。実は暫く前から気になってました。 ベッドからは掛け布団が外されていて、シーツの上は数枚のバスタオルでコーティングされてる。 いつもベッドの上が定位置のとおるくんは、畳まれた掛け布団の上、お利口さんでおすわり。 いつもより念入りなベッドメイキングに、 この人がっつり汚すつもりか…と……、───っ!! 「───まさかとお…ひゃんっ」 突然首元に落ちた冷たさに体が跳ねた。 そのすぐ後に、温かくてザラッとした柔らかいものが冷えた肌をなぞる。 「んっ……」 ちゅっ…と肌を引っ張られる感覚。 「甘いな」 茶色く染まった舌を見せて、妖しく笑うカレシ様。 やっぱりやりやがった! ……変態だ。この人変態だ! 俺の体にチョコソース掛けて食べやがった!!

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