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第355話 俺様カレシ
【斗織Side】
「ほら、舐めんだろ?」
じとりと潤目で睨んでくる遼は、その上目遣いに俺がビビるとでも思ってんのか。
そんな目で見られたら、余計苛めたくなるだけだって分からねェんだろうか。
だから、焦れたように一つ舌打ちを聞かせてやる。
「舐めないならいい」
気分を害したフリをして、捲った裾を元に戻すと、
「っ!やだっ!だめっ!舐めます舐めますっ!!」
両手を挙げて必死に宣誓された。
からかい甲斐のあるっつーかなんつーか…。
そんなに懸命に舐めるとか言われっと、少し擽ったい。
そんなに俺のこと好きなのかよ……とか、柄にもなく考えて思わず顔がニヤつく。
「チョコください」
手を差し出しておねだりポーズ(まあ本人無意識なんだろうが)の遼の手にチョコソースのチューブを渡そうとして……ふと思い出す。
「そう言や別のヤツもあんだった」
「別の味?」
「苺ミルクだったか…」
ベッドの下に手を伸ばし、鞄の中を漁ればすぐに白っぽいピンクのプラ容器が見つかった。
「こっちはマジもんのローション。でも、口に入れても無害で結構旨ェんだってさ」
『チョコ味と苺ミルクがあったんだけど、尻用には絶対こっち!』と渡された。
「え…、斗織、何処でそんなの手に入れたの!? そんなBLマンガのアイテムみたいな…」
「いや、俺が買ったんじゃねェよ」
遼の奴、ドン引きじゃねェか。
「マナちゃんが、遼と使えってくれたんだよ。送料無料にすんのに丁度良かったんだとかで」
まあ多分、俺に気ィ遣わせないよう、そう言ったんだろうけどな。
ボトルを手渡すと、遼は物珍しそうにマジマジとそれを眺める。
「リンナ印の食べるローション…って何コレ? ほんとに大丈夫なやつ?」
「不安ならチョコソースにしとけ。消費期限もあるから俺はこっち使うけど」
寝転ぶ遼の後ろに手を伸ばして入口をトントンと叩くと、突然の刺激に驚いたのか「ひゃんっ」と高い声が上がった。
「つー訳で遼」
チョコソースを手に取って、自分のモノにタラリと垂らす。
遼は目を見張り、ふわわ…と変な声を漏らした。
「ほら、舐めろよ」
「っ!───斗織がっ!俺様攻めとか~~っっ」
一体何にハマったのか、一体何を言ってんだか……。
突然訳分かんねェ事を叫んだかと思えば、遼はベッドに倒れ伏せ、頭を抱えてゴロゴロと転がった。
……つか、まっ裸で転がってっから、何処も彼処も丸見えなんだが…。
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