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第361話 愛しいカオ
【竜臥Side】
見上げた先の顔は赤く染まり、だけどいつもの、俺の好きなカオになってる。
なんつーか……、優しいって言葉じゃ足んないような……、慈しむ?包み込む?見守る?
………いや。
いつもと同じに見えて、同じじゃない。いつもよりも5レベルぐらい一気にアップした表情見て、気付いた。
これってさ、
───『愛しい』じゃん。
「僕も好きです、竜臥」
リクトの腕が俺の背中に回って、ギューッと抱き締められる。
「……ん。なんか、わかった、今」
「気付いたら好きになっていました」
「うん。……俺も!」
手に持った箱を壊さないように、その体を抱き返す。
……なんだよ、スゲーな。
気付いたと同時に俺、既に両想いだったってヤツなのかよ。
スゲーラッキー。
つか、…スゲー……しあわせ。
「ならさ、リクト、俺と付き合うよな」
疑問形じゃない問い掛けに、リクトは間髪入れずに「勿論です」と言って寄越す。
「んじゃ、今から恋人な!つワケで、俺にリクトのやりたい事やっていいぜ」
「えっ……………」
「どうせお前、トールや中山と一緒で、俺をどうこうしたい方なんだろ? 俺にどうこうされたいんじゃなしに」
リクトはデカいしな。組み敷くとか大変そうだ。
それに、俺はやってやるってより、やって貰う方が好きな質だから。弟妹除けば。
「最初はマグロでも許せよ。俺、どっちの経験も無いし」
「………………」
「……………リクト?」
いつまで待っても返事が無いから、変に思って見上げると……
リクトは、プシュ~~って音してそうなほど真っ赤に茹であがって、メガネを曇らせて固まってた。
「…………プッ」
まさか…俺の言葉でこんなんなったのか?
あんな本読んどいて、そりゃねぇだろ、リクトウケる!
「おい、リク…」
「サプラ~イズ!!」
「うぉっ!?───ビックリした…」
突然、バタン!!ってデッケー音がして、リビングのドアが勢い良く開かれた。
まあ、当然……、この場面で出てくるっつったら、この人しか居ないだろうな。
リクトの母ちゃん、百合子さん………。
「何やってるんですか?百合子さん…」
多分この人、出掛けてなんかなかったな。
いつも出掛ける時の格好、もちっと気張ってんもんな。
どっか他の部屋に待機してたんだろう。
百合子さんはリビング側の食器棚、オシャレなワイングラスなんかが収められてるそこを指差してみせた。
よく見れば、小さな赤いランプがチカチカしてる。
あれは、カメラの録画中ランプか……?
「別室でモニタリングしてました!」
…………………でしょうね!
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