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第369話 ある月末の話
それは、2月の末のこと───
母さんに呼び出された俺は、何故か母さんの家のキッチンで母さんと並んで料理を作っていた。
……って言うか、こんなに母さん連呼するのも、子供の時以来で超久々なんだけど。
珍しく母さんから電話が来たのは、昨日の夜8時頃だった。
エントランスで斗織を「おやすみ」って送り出して、部屋に戻ってベッドに転がって………
うだうだしてたらスマホが鳴った。
「はぁい」
『はぁ〜い、遼司。明日放課後、お姉ちゃんに学校に迎えに行かせるから』
「え!?」
電話に出た瞬間から、駆け足で話が進んだ。
『斗織は無しで!』
「はっ!?」
『拒否権も無しで! じゃあ明日よろしく』
プツ───と、通話は一方的に切られた。
何がなんだか分からないままに………
画面が自動に暗くなってから、漸く思考が動き出す。
……ちょっと待って。
母さん……明日、お姉ちゃんが学校に向かえに来るって言ってた……?
や、そっちはいいや。まだ。
───斗織は無しって言った!?
斗織無しとか有り得ないんだけど!!!
意味が分からないままに、斗織にダッシュでLimeを入れる。
『斗織ーっ!
母さんが、明日斗織ダメだって言う!!』
十数分後、ピロリンってLimeの受信音が鳴った。
『取り敢えず落ち着いて詳しく話せ
それと悪い』
『よく分かんないんだよ。
電話来て、一方的に言われたの。
放課後お姉ちゃんが迎え行くからって。
斗織は無しでって。
悪いって何?』
『俺も明日、両親に学校終わったらすぐ帰って来いって言われたから遼んとこ行けねえ
だからゴメンってこと』
『ぶー(。´・ε・`。)
遼ちゃんと斗織くんの
ラブラブカポーを
引き離す策略でも
働いているのでしょうか。・゚・ (´pωq`) ・。』
『ばーか』
『Σ(゚Д゚)
バカじゃないやいっ!』
『はいはい』
『うー、もーっ!
明日斗織は中山と席替わればいいと思うよ!
もしくは俺の席においで。
膝に遼ちゃん乗せて
授業受ければいいと思う!
うん、そうしよ?ヾ(・∀・ヾ)オイデ』
『おー、わかったわかった
そろそろ風呂入るからまた後でな』
『やーっ!
((ヾ(ノシヾε:)ノ)) ((ヾ(:3ノシヾ)ノシ)) ((ヾ(ノシヾε:)ノ)) ((ヾ(:3ノシヾ)ノシ)) 』
『転がんな笑』
そして、当然授業を受ける席はいつもとおんなじで、放課後は本当にお姉ちゃんが派っ手な外車で正門前に乗り付けてて(サングラス掛けた派手な赤い唇の女の人が、左ハンドルのウインドウ開けて俺に呼びかけ手を振ってくるって辱めを受けた)、母さんの家に連れて行かれた俺は、何故か料理を作らされている、と言う………
もーっ!訳分からんっ!!
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