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第373話 どういう事
「さあ、どうぞお召し上がり下さい。と申しましても、本日ご用意したのは全て息子が作ったものなのですけれど」
「まあ!遼司さんが?」
「ええ。私が会社を経営していて主人の転勤に付き添えないもので、この人の面倒はすべてこの子が」
「あ、あの…、家庭料理ばかりで、お口に合うか……恥ずかしいんですが…」
「食前酒もご用意致しましたけれど、どちらがお好みですか?」
「あら、まあ素敵。スパークリング清酒なんてございますのね。そちらを頂きましょうかしら」
「こちら、にごり酒なんですのよ。遼司、奥様にお注ぎして差し上げて」
「はいっ!」
なんだ───!?
だからこれは一体何なんだ!?
奥の上座と思しき席から、斗織のお父さん、お母さん、うちの父さん、母さん。
その正面に、奥から一也お兄さん、斗織、俺、お姉ちゃんと並んで座ってる。
斗織のお母さんには俺がスパークリング清酒を、斗織のお父さんにはお姉ちゃんが梅酒をお注ぎして。
父さんは帰りの運転と、一也お兄さんは病院から呼び出しが来るかも知れないからと遠慮したからブドウジュース。
斗織は俺に付き合ってオレンジジュース。
母さんとお姉ちゃんも斗織のお母さんと同じ、スパークリング清酒で揃えてた。
斗織とオレンジジュースって、イメージ合わないけど、なんか可愛い!きゅんってする。
きゅんって…そんな場合じゃないんだけど……
「斗織……」
振り向いた斗織に、どういう事?と目で訊ねると、首を横に振られる。
斗織もよく分かってないみたいだ。
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