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第379話 相談
【斗織Side】
3月に入ると、期日まであと2週間程度しか無くなる。
30、31が土日だから、そこで引っ越すんだろうな…とか、それまでに荷物纏めときゃいけねェんなら俺は邪魔になるか?…いや、遼が良いってんなら手伝ってやりてェけど。
そんな風に、月末へのカウントダウンが頭をよぎんねェ訳でもねーけど……
っても、今問題にしてんのはそこじゃない。
差し迫って悩んでんのは、14日。ホワイトデーだ。
バレンタインは遼が相当…色々頑張ってくれたからな。ホワイトデーは俺が喜ばせてやらないと。
曜日は変わらず月曜だから、準備するなら土日で出来る……が。
準備するにしても、何をすればいいか……。
準備を理由に逢えない時間を作んのも本意じゃねェ。
何しようが何を贈ろうが、俺が遼の為に考えたことなら何でも喜んでくれんだろうが、それだけじゃ味気ない。
俺にしか出来ない、遼がしてくれたように、離れてる間も俺の存在を感じさせるようなプレゼントを───
なんか良い物はないだろうか……?
『ホワイトデーに欲しいものってなんかある?』
『えっ、なに?くれんの?僕何もあげてないけど』
『やんねーよ
一也兄さんに何貰ったら嬉しいのか聞いてんの』
Limeの相手は言わずもがな。
俺達の通う高校の養護教諭にして、うちの上の兄さんの恋人(男)、マナちゃんだ。
『僕だったらぁ、その日1日独占させて貰えたらそれだけで幸せかな((o(♡´▽`♡)o))』
『そういうのが一番困る
つか、マナちゃんの欲しいもんはどうでもいい』
『自分から訊いといてそれか!!Σ( ̄ロ ̄lll)』
やっぱなぁ…。マナちゃんじゃ役に立たねェか。
そもそも、学校でも毎日会える俺達と違って、双方社会人で、同棲もしてない、じゃ会う時間もなかなか取れねェもんな……。
訊く相手間違えた。
『んじゃ、まぁありがとって事で
また会えたら学校で』
そろそろ遼におやすみメッセ送る時間か…と切り上げようとすると。
『おっと、そう言えばさ』
気になる切り込みでマナちゃんがメッセを滑りこませた。
『遠く離れた恋人に贈ろう…って広告文句でさ、面白いもん売ってたけど、それどうよ?』
『何処で?』
『この間の食べられるローションの通販サイト』
怪しい大人向け通販サイトか……。
確か、リンナ印の、とか言う。
『俺17歳』
『うぉっ(,,oΔo,,*)
なにお前可愛いこと言っちゃってんの!?』
『いや、そういうの、18歳以上じゃねーと駄目だろ?』
『そこはお兄さんに任せようよ~♡
僕が買ってあげるよ?( -̀ω•́ )b+』
『あ!金は貰うけど!!』
頼りねェお兄さんだな!!
いや、当然遼へのプレゼントなんだから俺が払うけど。
『URL…はダメか。子供は見ちゃいけないサイトだもんな』
そんなヤベェもん贈らせるつもりか!
仮にも学校の先生が。
『スクショして送ってやるから、それ見て欲しいかどうか決めな
そう安いもんでもないからさ』
『うん。ありがとう』
『おう!
おまえ可愛いなぁ(*´ω`*)♡』
『いや、そういうのいらねー』
『じゃあちょっと待ってな~(((ヾ(。´∀`。)o♡』
マナちゃんからのハートなんていらねェんだが……
そして送られてきた商品情報に、俺はそれを買うことをすぐに決め、マナちゃんに代理購入を頼んだ。
遼が喜んでくれるように、なんか好きそうな包装紙でも買っといて包むか。
そういうの好きだもんな。
高女子力男子。
プレゼントを開けた遼の顔を想像すれば、鏡で見なくても分かるくらい自分の顔が緩んだ。
急に声が聴きたくなったが、今話せば俺の方がニヤけて訝しがられそうだ。
……取り敢えず、今はおやすみメッセを入れて…。
ニヤけないよう心を落ち着かせてから、電話掛けっか。
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