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第380話 今日も今日とてのろけます
ホワイトデーが近付くと、バレンタイン前とおんなじ。また皆がソワソワしだす。
うぅ~ん…、でも、ちょっと違うかな?
2月の男は義理でもいいからチョコ欲しい!って騒いでたけど、3月の女の子は、「チョコのお礼期待してるから」って、あげた義理チョコの価値以上の見返りを当たり前に求めてるみたい。
女の子は強かだ。
俺は、その日も斗織といられるだけで幸せ……なんて、本当はやっぱり、ちょっと期待しちゃってる。
だって、斗織だもん。
誕生日だってクリスマスだって、いつだって俺のこと考えててくれて、多分ホワイトデーにも……ムフフっ。
1日だけ、「後で直で家行くから、取り敢えず今日は先帰ってろ」って言われた日があった。
いいけどー、淋しいからちゅーして?、って言ったら、隠れてこっそりおでこにちゅーしてくれた。
口にしたら止まんなくなるって言う斗織が可愛くて、俺からもほっぺにちゅーをした。
多分あの日、何かしてくれたんじゃないかなぁ…って。勝手に想像。邪推?って言うか。
もし他の用事なら、ちゃんと言ってくれると思うんだよね。
そんな訳で、俺も、ひろたんも、リューガくんも、何気にそわそわしています。
「俺、中山からひろたんの喜びそうなもんなんだ?って相談された」
リューガくん、それは隠しておいてあげるのが正解なやつだ。
「……そうなんだ…!悠成くん、ちゃんと考えてくれてるんだ…」
ぱぁっと花が綻ぶようにひろたんは笑う。
けど、
「考えてなかったら許さん!」
「中山コロす!」
「っ!! 2人共、どうしてそんなに悠成くんに当たりが強いの!?」
「え?だって中山だし」
「中山だもんなぁ」
それ以外に何があるって言うんだろう??
「そこんトコいくときぅちょうは色々考えててくれそうだよねぇ。例の本の知識でネタも多そうだし」
「例の本…って……」
リューガくん、BL読んだのアレ1回きりなのかな?
顔赤くして目を泳がせて、とっても落ち着かない感じ。
「羽崎くんも、意外とマメそうだよね」
「うん。見た目はそんな風でもないんだけどね」
「リョーちんと付き合う前はそんなマメな男じゃなかったしなぁ…」
「っっ!! りぅがくん、ひどいっ!斗織の昔の女の話なんて…っ!」
「えっ…、あっ!───ごめんリョーちんっ!!」
「ううん。でも、3人とも何やってくれんだろ~ね?また報告会やる?」
「リョーちんん~~……」
責めるフリして直後ケロッと会話を再開した俺に、騙されたことに気付いたんだろう。
リューガくんは頭を抱えて崩れ落ちた。
「えへへ、だいじょーぶだよ。だって斗織、好きな人と付き合えたの俺が最初で最後だって言ってくれるし、初エッチの相手も俺だし、疑わしい事も全然無いし、やきもち焼くのもばからしくなるくらいに愛してくれるでしょ?」
「……謝った俺がバカだった……」
「盛大に惚気けられた……」
リューガくんは更に土に埋まる勢いで膝を抱え、ひろたんも金網に手を掛け俯いた。
「まあでも、現在進行形でちょっかい掛けられてたりしたら、流石に嫉妬はするよねぇ。そっちは女なんだから幾らでも受け入れ口があるだろ。他の男んとこ行け、ってさ」
「それ…ねえ……。中山くんモテるから……」
なにっ!? 中山のやつ、真逆 ひろたん相手に不義理なことしてんのか!?
「でも、サッカー部のファンの子に冷たくは出来ないから、難しいよね…」
サッカー部が練習してるグラウンドに視線を向けて溜息を吐くひろたん。
うぬぬ…、中山許せん…!!
「ひろたん!浮気されたらちゃんと言いなよ。俺たちが中山を成敗するから」
「そうだぞ!俺達が中山のち○こ斬ってやるから!」
「りゅーがくん…っ?! 今、切るじゃなくて斬るって言わなかった…!?」
ご明算です、ひろたんくん。
俺も一緒に斬ってあげるからね!
中山も、斗織も級長も部活動でいなかったその日、俺たちは中山が可愛いひろたんを裏切れば局部を切り落とすことを3人で誓いあった。
兄弟の盃を交わしたのだ。
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