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第385話 1年計画
「遼、ちょっと待ってろ」
ギシリと音を立て、斗織がベッドから下りる。
どうしたんだろうと見つめる先で、斗織は着物の帯をシュルリと解いた。
それから紐を2本外すと、着物と長襦袢の前を肌蹴させる。
斗織は襦袢の中にシャツやステテコを着けないから、そうするだけで少し盛り上がった胸筋と、引き締まった腹筋が露わになる。
誘惑されてないフリしてたクセに、しっかり膨らんでくれてるソコが嬉しい。
中途半端に脱げた斗織は、なんとも言えない色気に満ちてて、何時間でも眺めてられる。
……と思ってる側から斗織は着物を床に落とし、脱いだ制服の掛かったハンガーを手にした。
「え……、っ!?やだやだっ!帰んないで!」
「帰んねェから心配すんな」
制服に着替えだすからビックリして引き留めると、苦笑して頭を撫でられる。
帰んないなら良いんだけど……、だったらなんで着替えるの?
きっちり着込んだわけじゃないけど、ベルトを抜いたスラックスを穿いて、ボタンのはまってないカッターシャツの上にブレザーまで羽織って。
ネクタイは締めないけど首に掛け。
「遼、立ってみ」
ベッドに寝転んでスタンバってた俺を立たせると、腰を抱いて引き寄せる。
「……どういうこと?」
「立ったまんまヤるか」
「えっ?」
………んん??
ほんとに、どういうこと!?
「学校じゃヤれるとこねェしな」
「……んー?でも斗織、前に屋上でえっちなことしてきたよ?」
「あん時はコキ合いだろ?掴まるとこねーし、立ってっと危ねェから却下」
「その言い方好きじゃない~。触りあいっことか言おうよ」
「どっちもおんなじだろ」
そっちに引っかかんのかよ、って斗織は苦笑うけど…
でも、立ってスるのも、人に見られないトコがあるなら学校でスるのも、別に吝 かじゃないんだよ。
相手が斗織で、愛ある行為ならさ、喜んで受け入れますよ遼司さんは。
だけど、知りたくはある、よね。
斗織が突然立ってシたくなった理由。
ずっとそうしたかったって言うなら、これからも遠慮しなくていいよって伝えたいし。
でも、立ったまんまは疲れそうだから、俺もっと体力つけなきゃかなぁ。途中で脚プルプルしちゃいそう。
転校したら運動部…は受験生だし今更入部も出来ないから、筋トレしながら英単語覚えるとか工夫して、1年掛けて遼ちゃんマッチョ化計画!
「……遼、マッチョはやめろ」
「えっ…!? 俺の頭の中読んだ!? 斗織エスパー!?」
「お前がサトラレ」
「えっ!!? うそっ!!」
「ウソ。声に出てたぞ。“1年掛けて遼ちゃんマッチョ化計画”」
「───!!」
それは恥ずかしい………
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