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第393話 生着替えと理不尽と

制服を着替えると言う斗織について、斗織の部屋にお邪魔した。 2回目のこの部屋で、やっぱり俺は1回目と同じ、出してもらった座布団に正座して、着物に着替える斗織を見つめる。 もうね、眺めるとかじゃなくて、ガン見のレベルだと思う。 ブレザー脱ぐ斗織、かっこいい! ネクタイ弛める斗織、かっこいい! あぁっ、シャツのボタンを外していく斗織の胸筋、腹筋─── 「遼…、視線がうるさい…」 ガン───!!? 「言いたいことありゃ口にすりゃいいじゃねェか」 「えっ……」 そんなことを言いながら、ベルトを外してスラックスを下ろすカレシ様……… どうしたって、パンツの下からモリッてしてる魅力的な部分が目に入っちゃう。 ううん、寧ろ目を捉えて離さない! 「え…えぇ……?口にしちゃっていいんですかぁ?」 ちょっと熱くなった顔でチラ、チラと見上げると、 「………」 質問の意味に気づいた斗織に、おでこをビシッと叩かれた。 「いたっ…!」 「ヤリ足んねェのは分かったから、取り敢えず落ち着け」 自分で叩いたクセに、いいこいいこっておでこを撫でて、なが~い溜め息。 俺の所業に呆れてんのかも知れないけどさ……、俺がこうなっちゃってるの、一体誰の所為だと思ってんだよ? 「だってさっき、俺は口でしてもらったけど、俺はさせてもらってないもん」 俺のを口でしてくれてる間にさ、自分で擦って勝手にイッちゃって…… 前は満足でも、後ろと口は全然納得してないんですよ? 基本、俺は後ろでシて欲しい派なんだから。 斗織がそう仕込んだんだから。 ちゃんと分かってんのかな、この人。 「あ~あ、お口が淋しいなぁ。せめてやさしくちゅーしてくれないかなぁ」 「…優しくじゃなくて、やらしくの間違いなんじゃねェの?」 「やらしくてもいいですよ…?」 剥き出しの背中、浮き上がった肩甲骨にピタッと身を寄せると…… 「はいはい、後でな。取り敢えず着付けさせろ」 バリッと引き剥がされた。 「なんでだ!?」 「なんでだじゃねーよ! ギリまでお前んち居たんだぞ。さっさと用意して行かねェとマズイだろうが」 「───はっ!俺お手伝いしなきゃだった! なのにちょっとパンツ濡れちゃった」 「いや……、何やってんだお前は……。何やってんだよマジで……」 そんなの、斗織が目の前で生着替えするのがいけないんじゃん。 そんな目で見られるなんて、理不尽!

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