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第405話 ヘビの生殺し
お酒を飲むことを想定して、父さんは今日は車で来なかったらしい。
まあ、俺達はいつも徒歩移動だし、15~20分の移動距離。
お酒入ってるって言ってもそんなに酔ってるわけでもないし、素面と変わらず帰れるだろう。
そうそう、母さんとお姉ちゃんはうちに泊まっていくらしい。
「私 遼ちゃんと一緒に寝る~」ってうっきうきのお姉ちゃんに宣言されたけど、
「俺、斗織の部屋に泊まってく約束しちゃった」
えへ、って返したらガックリ崩れ落ちた。
リアクションがオーバーなのは、お酒が入ってるからだと思う。
家族を見送って、大和お兄ちゃんとも別れた。
先にお風呂にどうぞって言ってもらって──遠慮したんだけど、高校生なんだから早く寝なさいって──一番風呂を頂いた。
脱衣所に入って、2人きりになった瞬間斗織に抱き着いた。
───はあぁぁ………落ち着く。
「なんだよ?」
口元の綻んだ声でそう言って、頭を撫でてくれる斗織。
「しあわせを噛み締めております」
「………だな…」
背中に腕が回って、ぎゅうぅって、痛いくらいに抱き返された。
今なら骨の1~2本折れたって、溢れる涙を痛みの所為にして、笑っていられるんだろうな………
本当はずっと、一晩中でもこうしてたいけど、お風呂の順番を俺達の所為でつっかえさせるわけにはいかない。
巻き付ける腕をそっと外すと、斗織もゆっくりと俺の身体から手を放した。
「……入るか」
「うん」
斗織がしゅるりと帯を解く。
「………遼。見てねェで、お前も早く服脱げよ」
「はぁい。……斗織は見ないの?」
「お前な……。後から兄さん達や親も入るんだから、エロい事してくんなよ」
「っ───!! そうだった!!」
「………ばーか」
なんてこった───!!
せっかく斗織と2人でお風呂なのに、なんにもしちゃいけなんだなんて───!!!
うわーんっ、ヘビの生殺し~~っ!!
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