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第409話 キス納め

「取り敢えず、キス納めな」 謎の言葉を発すると、斗織は弾力を楽しむようなキスを幾度も俺の唇に贈り、最後、名残り惜しそうに人差し指でふにってなぞった。 え……? でも……なに…?! キス納めってどういう事!? ……まさか!もう今後はしないってこと!? 「と──」 俺の開きかけた唇を人差指と親指の腹で挟んだ斗織は、逆の手の指を自分の口の前に立てる。 「しーっ」 ………なんですかその可愛い仕草は…! なんだかその可愛いやら色っぽいやらのポーズに、遼ちゃん心臓ドキドキですよ? なのに自分は口摘まれて、アヒルみたいなアホ面晒してるとか…! 「んぅ~…」 不満げに唸ってみせると、苦笑して、ほっぺにちゅってしてくれた。 キス納めは、唇限定のものだったのかな……? 「メディカルテープだからそんな悪ィモンじゃねェけど、剥がす時痛かったらごめんな」 「めでぃ、かる…?」 斗織くん?君がなに言ってんだか、俺さっきから全然わかってないですよ?? 俺絶対、頭上にはてなマーク飛ばしてるのに…… 斗織はまったく気にする様子もなく、俺の唇に何処から取り出したのかリップクリームをグリグリと塗り付けてくる。ちょっと強い。痛い。塗るのへたくそ。 それから、手にしたセロハンテープ…?にしちゃ、ちっちゃくて太くて厚手でスキンカラーだけど。 それが、…えと、めでぃかるテープ? それを10cmないし切り離すと。 「遼、口閉じろ」 「…あ、うん」 いつの間にか開いちゃってた(のは斗織が意味分かんないことするから呆然としちゃった所為だけど)唇をキュって引き締める。 「よし」 「っ───んッ!? んんっっ?!」 ビッてされた! 口の上からテープ、ビッて貼られた!!!

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