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第410話 確信犯
「これなら声堪えられなくても平気だろ?」
ドヤ顔してほっぺを撫でてくるご主人様。
流石俺のカレシ、かっこ良い上に賢くて、ますます惚れちゃう。
───なぁんて思ってると思うなよ……
俺が今、心の中で自分のことなんて呼んでるか聞こえてるか?ご主人様……
どう考えたってこんなの、SMプレイの一種じゃん!
口 テープで塞いで、これで手首でも縛ろうもんなら完璧ソレじゃん!
「悪ィ。俺が我慢できなくなった。ちっと苦しいと思うけど、堪えられるか?」
……けどさ、そんな風に優しい目で見つめられたら───
もう好きなだけ縛って下さいご主人様っ!
ってなっちゃうじゃん。
斗織のばか……、ズルいんだよ。まったく!
だけどまあ……、ご主人様の目的は、SMプレイじゃなかったわけで。
腰に巻かれた帯を解いて手首を縛ることもせず、斗織は俺の体をやさしくそっと布団に横たえた。
なんだか……その、いつもベッドだからか……
布団に浴衣の斗織がしっくりきてて、いつもよりもしっとりしてるって言うか………
つまり、───いつにも増して格好良いんですよ俺のカレシが。うん。
首に唇が触れて、んッ…て声が漏れる。
鼻から抜ける甘い声になっちゃうのは、口が塞がれてる所為だけじゃない。
もう好きにして!ってなっちゃってる俺の身体を斗織の手のひらが優しく撫ぜる。
受け入れ態勢が出来ちゃってれば、触れられる気持ちよさだって全部受け入れちゃうってもんで……。
「んっ……んン…んっ、うぅん…ッ」
ビクビクと身体を震わせば、
「いつもより感度良くねェか?……遼、目隠しもするか?」
耳孔に舌を這わせながら、意地悪くフッて笑われた。
潤む瞳でブンブン首を振れば、今度は優しく零れた涙を拭ってくれる。
「そうだな。この顔が見らんねェのは勿体無いか」
口に出来ないからか、瞼にチュッて。
斗織の意地悪と優しさと───鞭が緩くて飴が甘過ぎるんですけどこの人っ!
ここ数ヶ月で俺、一生で取っていい糖分摂取し終えたんじゃないかな、って思うくらい。
俺、精神的に糖尿病になっちゃってない!?
でもさ、この糖分は溜めておけないんだよ。
こんなに一気に甘い物を覚えちゃったら、逆に今後1年間、糖分不足で倒れちゃわない…?
俺の1年、ほんとにだいじょうぶかな……?
急に淋しくなって……
斗織の背中に手を回してぎゅってしがみつけば、俺の気持ちを分かってくれたのか、やらしく身体を撫で回していた手をおんなじように背中に回して、ぎゅーって抱き返してくれた。
「ん~んぅ」
くぐもる声で名前を呼んで、胸に顔を擦り付ける。
斗織も俺のおでこに口付けて、スリスリ…ゴリゴリッて………ん?………ゴリ……?
「っ───!? んっ!んーっ!」
「わり、何言ってんだかわかんねェ」
いや!わかってんだろ!
俺すんごいしんみりしてたのに、なんで空気読み切らずにちん○んゴリゴリしてきてんだよ!
ううん、違う!
空気は読めてた!読んだ上で無視した!
この確信犯~~~っ!!
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