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第413話 駄々っ子の重い愛

【斗織Side】 流石にこのまんまヤるのは憚られたから、遼の太腿を使って吐き出した。 初めは四つん這いにさせて背後から擦ってたが、んーんー なんか文句言ってっから、仰向けにひっくり返してみた。したら満足そうに抱き着いてきて。 身体硬ェくせに前からヤラれてェのか? しょうがねェなと、肩に足担ぎ上げて太腿に挿んで腰を突き上げた。 明日、背中や太腿の筋肉ヤベェだろうな、コイツ。 二人分の精液 顔に受けて、口元のテープ外してやりゃあ、器用に俺のモンだけ美味そうに舐めやがって……ぜってェ美味くねーのに。 で、身体拭いて、浴衣着せてやって、汚れたバスタオルを片付けに行こうとしてる俺の腰に両腕回して、 「やぁだー…、もう…寝よ?」 今、ここだ。 「バスタオル片付けてくるだけだっつってんだろが」 「離れたくない~」 我儘言われんのは困んだけど、駄々の捏ね方が可愛いっつーかなんつーか…… 求められてるな、愛されてるな…ってのは、思い違いなんかじゃないと思う。 テープ剥がした時に赤くなった口の周りを指でなぞって、顔も赤くなったとこで唇を上下から挟んで抓む。 コイツ、成人してもヒゲ生えなさそうだよな…。 同じ男とは思えねェ透き通った肌に、色素の薄い澄んだ丸い()、ぷっくりしたヤラシイ唇。 人間は自分とは違う優れた部分を持つ相手に惹かれるっつーけど…… 遼も、俺の黒髪、黒目──そう言うトコに惹かれてんのか……? ああ、それから身長か。 プニプニとした感触を楽しんでると、不服そうに唸り声を上げられた。 指を離して、自由になった唇を軽く奪えば、途端照れたように顔を伏せて足をバタつかせる。 「んだよ?……つかさ、お前 俺のこと好きすぎだろ。一瞬も離れたくねェとか」 「………重い…?」 情けなく眉毛垂らして見上げる目が、なんでそんなに不安げなのか。 「どんぐれェ好きなんだよ?」 「………ドン引きされるくらい」 そりゃ光栄だな。 「言ってみろよ」 世界で一番、とか、両手広げて「こーんぐらい!」とかか? 家族捨てても離れたくない……は無いな。 だったら聖一郎さんについてかないで、4月からもこっちに居る筈だろ。 コイツの『重い』のレベルはきっと、俺が家を出ても──茶道家としての道を捨てても、と思ってたそれよりも、軽い…じゃねェけど、テメェの家族の存在よりもきっと…… 「えっと…ね、……例えば、政府が…」 政府?……デカく出たな。 「斗織のことを差し出さないと、日本が滅びるって言ってくるんだよ」 「は!?」 「でもさ、俺には斗織がいなくちゃダメだろ。だからね、俺から斗織のこと取り上げようとする、そんな国なら滅んじゃってもいいじゃん!って思うんだ。 日本も世界もどうでもいい。宇宙が爆発しちゃうって言われても、斗織のこと絶対渡さない。 ……そんぐらい好き…なんだけど、………だめ?」 なんか矢鱈スケールデケェこと言って、控えめに上目遣いで袖をツン…て。 「………重い…な…」 つい本音がぽろりと零れ落ちた。 「うっ……」 やっぱり、と呟いて、遼が布団に沈みこむ。 巻きついた腕が離れた隙を突いて、バスタオルを手に立ち上がった。 「遼、落ちてるトコ なんだけどな、その重さ、俺は嫌いじゃねェからな」 「えっ!?」 勢い良く顔を上げるから、捕まんねェよう一歩出口へ近付く。 「そんぐれェ執着されてる方が、なんかいいだろ」 「ほんとにっ!?」 「ああ。宇宙が滅んでも、お前と一緒にいてやるよ」 「~~~っっ! とお───」 「んじゃ、ちょっと待ってろ」 「ちょっ?! とおる~~っっ!!」 感動して抱き着いてこようとした遼を避けて部屋の外に出ると、素早く襖を閉めた。 中から名前を呼ぶ叫び声が聞こえてくるが、放置して廊下を進む。 バスタオルは取り敢えず、(すす)いで適当に干しときゃいいか。 メディカルテープとリップは2人(一也兄さんとマナちゃん)に返して……口塞いでもなんだかんだ音漏れしてんだろうし、マナちゃんにからかわれんのは必至だな。 それより、声掛ける前に、ヤりかけてねェか、あっちの雰囲気探んなきゃいけねー方が問題か……。 つか、マナちゃんが一也兄さんの嫁か…… …………… …………………… …………………………… ───おし! さっさと戻って、遼抱き枕にして寝るか。 「……俺も…宇宙より遼だな」 ポツリと呟いて、その擽ったさに頭を掻いた。

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