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第27話 グラジオラス
朝一緒に登校しちゃったから、帰りは一緒じゃない方がいいよね。
HR終了後。
そう思って、先生が出口へ向かってる最中にカバンを引っ掴んで、追いかけるように教室を飛び出した。
「遼、止まれ」
「はいっ」
なのに、後ろの扉付近で即行捕まった。
……なんだろう? 俺ってもしかして、トロくさい……?
「今日俺、部活だから一緒に帰れないけど、一人で平気か?」
「え? うん、平気」
斗織がおかしな事を訊いてくるから、首を傾げて答える。
ずっと一人で帰ってたのに、いまさら平気かなんて、妙な質問だ。
それに……
「斗織、部活なんてやってたんだ」
そういうのとは無縁の人だと思ってた。
「ああ、茶道部な」
「茶道部!?」
「マメも今日は軟式野球の同好会があるから、一緒に帰れねェんだが」
「や、それは大丈夫だってば」
それより、リューガくんの軟式野球はともかく、斗織の茶道部って…!!
「あと、遼、スマホ出せ。お前、Lime入ってるか?」
「えっ、ちょっと待って」
スマホを取り出してSNSアプリを立ち上げる。
ん、と手を出すから渡すと、プッと笑われた。
「お前のアイコン、なんで花なんだよ。女子か」
「えー? 綺麗でしょ、グラジオラス」
「……いや、マニアック過ぎて。初めて聞いた、なんだその呪文みたいのは」
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