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第29話 ○○○たいですか?
「とにかく明日、朝一緒に登校するからな。いつもの5分前に改札の外で待ってろ」
約束を一方的に取り付けられて、更に護衛を一人付けられて、俺はようやく解放された。
変なの、と思ったけどやっぱり逆らえなかった。
しかも、護衛に名乗り出た人がやたらにノリノリで……。
「柴藤君は、男性の受け入れ方を知っていますか?」
………なんか、変なこと言いだした……。
「え…と、きぅちょう?」
「僕ならそれを書面で伝えることができますが」
眼鏡をクイ、と指で押し上げ、「クラス委員長です」と訂正される。
「あ、ごめん。前の学校ではきぅちょうだったから…」
「なるほど。君は転入生でしたね」
「えと、それで…あの……?」
「まあ、こちらへどうぞ」
背中に手を添えエスコートされて、図書室へ連れて行かれた。
級長は黒縁眼鏡に黒髪、一見真面目で地味な人に見えるけど、良く見ると背もスラッと高いし容姿も整ってるし……勉強ができて綺麗な見た目。
図書室で勉強をしていた真面目そうな女の子たちが、チラチラと級長の姿を窺ってる。
結構モテるんじゃないかなぁ、級長。
だけど級長はそんな女の子たちの熱い視線もお構いなしで、中庭に面した陰のスペースに身を潜めた。
向かい側に座ろうとすると、隣へどうぞと導かれる。
「えと、じゃあ、失礼します」
腰を下ろすと、級長にピタッと身を寄せられた。
「あのぉ……?」
「図書室内は私語厳禁なので、小声で話します。少し近いですが、余り気にしないでください」
「は、はぁ…」
「と言うか、君は羽崎君の恋人なのだから、僕のことなど意識しないでください」
「……はい…」
「では改めて質問です」
級長はキリッと表情を引き締めると、更に声音を抑え、耳元に口を近づけてきた。
「柴藤君。君は羽崎君に、抱かれたいですか?」
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