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第36話 気持ち良いのは
ここが一番好きかなぁ……
春也くんが先生のモノを欲しがって、袴の上から咥えるシーン。
なんとなく、先生の膨らんだモノに指先をツツーと這わせる。
『せんせぇの熱いのっ、中に───中にくださぃっ』で先生がメラッてして押し倒しちゃうとこも良かったけど、その後が寸止めって言うか、障子の外からの影と声だけのシーンで。
…………っ!!
いやっ、違うからっ!別にエッチなのが見たかったわけじゃないから、俺っ!!
「柴藤君はそのシーンが気に入りましたか」
「ひゃっ!?──きっ気に入ったとかじゃなくっ…!!」
級長は本を覗き込んで、うんうんと頷いた。
「堪え切れずにおねだりする受け、確かに可愛いですよね」
「えっ?…あ、う…ん……」
そ…そういう見方するものなんだ……。
俺、春也くん目線で見ちゃってた。
恥ずかしくなって目を逸らすと、級長にフッと小さく笑われた。
つい恨めしい目を向けてしまうと、不敵な笑みを浮かべて見返される。
「それとも君は、春也君のように先生の好きなようにされてしまいたいと、そう思いましたか?」
先生の好きなように───?
春也くんみたいに、直にじゃなくて道具で、おっぱいこしょこしょってされて、
着物の裾を捲られて、おしりをパシン、パシンって……
「うわぁっ」
背中がぞわぞわってした。
「やだやだっ、痛いのはやだっ」
「では、気持ち良いのは?」
「きもちいいなら……斗織とならシたい」
何を喋らされてるんだろう、恥ずかしい。
でも、級長ぜんぜん偏見ないし、専門の先生って感じで、色々教えてくれそうだし…。
それで斗織のこと気持ち良く出来るんなら、力になってもらえるなら、助かる…し……。
「及第点、でしょうか」
「及第点…?」
首を傾げると、頷いて見せる。
「紫藤くん。気持ちが良いことばかりを求めてはいけません。始めに繋がる時は誰でも、それこそ女性でも、痛みを伴うものです。それを乗り越え、彼らは愛を深めていくのです」
「え、あ、うん…」
俺、繋がりたいとか言ってないんだけど……
それに、斗織からも初めに言われたけど、なんでか当たり前のように俺が受け入れる側になってるし!
「では、数冊貸しますから、良く読んで勉強してください」
「はい……」
差し出された本を受け取ろうと手を伸ばす、と───
「遼!」
離れたところから名前を呼ばれた。
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