まるで誘い逃げみたいになっちゃって、さすがにヒドイと自分でも思ったから、電車の中で斗織にLimeメッセージを打った。 『ごめんね、級長と先に帰ります。 　また明日』 可愛いリスが『ごめんね』してるスタンプを送って、勝手に一安心。 そ言えば、明日は朝から一緒に登校する約束だっけ……。 怒られる…かなぁ……？ 『級長にえっちな本借りて読んで、えっちな気分になっちゃった。 　変な冗談言っちゃってごめんね。 　もう言わないから、許して(｡>ㅅ<｡)』 こんで、怒られるとしても級長もいっしょ。 1人で全部受けるより、2分の1のが安全な筈。 夜、夕飯の準備をしているとスマホがピロリンと鳴った。 『冗談ならもう言うな』 間髪入れず、怒りのスタンプが送られてくる。 「やばぁ…、やっぱり怒ってる。てか、怒っててもスタンプ使う人なんだ。そもそも斗織、スタンプ使う人なんだ…」 怒られてるんだけど、ちょびっと可笑しい。 『お詫びに明日、俺の分の弁当も作ってこい』 「おっ、おぉぅ…、材料、平気かな？」 なにそれ、愛妻弁当的な？ちょっと照れる。 オッケーのスタンプを選んで送信。 『それから朝の約束、忘れんじゃねーぞ』 「はいは～い」 『了解』と。 『あと、』 ん？なんだろ？ あと、の続きが来るの待ってるんだけど……。 途切れてもう、5分くらい経ってる。 その間にハンバーグが焼き終わって、ソースまで作って掛けちゃった。 ご飯をよそって、テーブルに運ぶ。 いつもの1人ごはん。 ちょっとつまんないなー、って口を尖らせてたら、待ってた着信がピコリンと鳴った。 『冗談でなら、もう言うな』 ん……？これ、初めに来たのと同じ言葉？ 間違ってまた送信し直したのかな？ あ、でも、前のと違う？ 間に『、』が入ってる。 ………俺、そんなに斗織のこと傷つけちゃったってこと!? 『ごめん！ 　ほんとにごめんね!!』 慌てて送ったメッセージに、イケメン顔で親指を立てる丸い生き物のスタンプが送り返されてきた。 傷ついてる…わけじゃないの……？ 「……はあぁ……、もう、心臓に悪い～～っ」 目の前にいないと、どういう顔して言ってんだかわかんないじゃんっ！