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第51話 おはよう
教室に着いてそれぞれ前後の入口から中に入った。
俺が前から、斗織は後ろから。
机にカバンを置きながら、隣の席に突っ伏してる中山に声を掛ける。
「おはよう、中山」
「えっ……、紫藤!?」
ガバッと勢い良く起き上がった中山が、目を丸めて俺の顔を見た。
「えっ?そうだけど…なに?」
キョトンとしてると、満面の笑みでぎゅっと手を握られた。
え、えー……?
これ、どういう状況…??
「あの…?」
「ああっ、ごめん!つい嬉しくてっ」
慌てたようにパッと手を離してくれた。
「紫藤から挨拶してくれたの初めてだったからさあ」
照れたように頭を掻いて、ニカッと笑う。
初めて、って……
俺、そんなに感じ悪かったんだぁ……。
申し訳なくなってちょっと落ち込んじゃう。
それなのに毎日懲りずに話しかけてくれて……
中山、ほんとにイイ奴だったんだね!!
「中山は友達だからさ、これからはちゃんと挨拶する!今まで冷たくしてごめんね」
「いやっ、いやいや、冷たいとかなかったから!マジ大丈夫!」
「いえ、適当にあしらわれていましたよ。気付いてませんでしたか?」
中山とは逆側の隣席から人の気配。
振り返ると級長が、「おはようございます」と会釈をし、フッと微笑んだ。
「おはよう、きぅちょう」
「正しくはクラス委員長ですが、…まあ良いでしょう」
「あっ、そうだった。ごめんね、委員長」
謝って、呼び方を改めようと言い直すと、
「いえ、可愛いので級長で行きましょう」
級長はキラリ、と眼鏡を光らせた。
委員長より級長呼びのが可愛い?
う~ん?……良くわかんないけど、気に入ってくれたならそれでいいか。
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