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第87話 おはよう
【斗織Side】
「斗織、とぉる~」
遼が名前を呼んで、肩を揺らしてくる。
先に話しかけられちまったな…。
明るいのは、陽の光か?
眩しさに瞼も下ろしたまま、せめてそれを伝えるのは俺が先だと、手探りで遼の手首を掴むと思い切り引き寄せた。
「おはよう、遼」
倒れ込んできた遼を抱き締めて、唇を重ねる。
「ふぁぁ…っ!……お、はよう、斗織…」
遼は妙な声を出して、慌てて俺から離れた。
なんだ?朝だからってこともねェだろーし。
目を開けると、光を放ってるのは外の太陽ではなく部屋の電灯であることに気付く。
外はまだそんなに明るくない。
「今何時?」
あくびをしながら訊ねると、
「7時だよ。まだ寝てていいよ、斗織君」
遼よりも1オクターブほど低い声が答えた。
「───っ!!」
一気に目が覚めた。
慌てて起き上がり、佇まいを正す。
「おはようございます!」
「おはよう。寝てるのに邪魔してごめんね」
聖一郎さんは品の良いスーツを身に纏って、朝だというのに既にビシッと決まっている。
「遼司が起こすって言ってきかなくて」
「だって、父さんが出掛けるのに寝たままだったら、後で斗織、絶対気にするもん」
「ああ、それは…、起こしてくれてサンキュ」
確かに、寝かされたままだったら文句の一つも言ったかもしんねェ。
「聖一郎さんは、お仕事ですか?」
「うん。僕の仕事は休みが平日だから」
「大変ですね」
「うん…。僕よりこの子がね」
聖一郎さんに頭を撫でられると、遼は驚いた顔で父親を見上げて、そして嬉しそうに表情を緩めた。
昨日聞いたように、頭を撫でるのは久し振りだったんだろう。
遼と一緒に聖一郎さんを玄関まで見送って、部屋に戻る。
「斗織…、どうする?もう少し寝る?」
腕に両手を絡ませて、甘えるように訊いてくる。
寝るっつってホントに寝たら、怒るか拗ねるかしてくんのかな。
試したい気もするが、あんま焦らしてまたお預け食らうのもな……。
横抱きに、所謂お姫様抱っこってヤツで抱き上げて、その身体をベッドに優しく下ろす。
上にのしかかって頬に手を添え、
「……寝るか?」
瞳を熱く覗き込めば、遼の顔は見る見る赤く染まった。
「………ね、ます、んぅっ」
返事を聞くと同時に、キスで唇を塞ぐ。
両手の指の間に自分の指を通してベッドに縫い付け、開いていた口の間に舌を滑り込ませた。
「ん…っ、は…ぁんっ」
歯の裏、上顎、舌の先、反応の良い場所を探して口内を犯せば、遼の口からはすぐに甘い声が漏れ出す。
感じんの早すぎっだろ…。
唇を離して小さく笑うと、熟れたような赤い舌が追いかけてきた。
口の端から零れた唾液を舌先で舐めとる。
「ぁっ……やぁん…きもちいいよぉ…」
エロい顔。どんな目で俺のこと見てるか、分かっててやってんのか?お前は。
「何処が気持ちいいんだよ?」
パジャマの裾から手を入れて、まだ柔らかな突起を転がす。
逆の手は下着の中に滑り込ませて、弾力のある尻肉をかるく揉みしだいた。
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