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第54話
「俺のは尖ってるけど、ユキのは先っちょがまるっこくて……かわいい」
そうなのかな、と淡い明かりのもと、並んだ性器を見おろす。見比べるのも、そうされるのもひどく恥ずかしかったけれど、どうしても興味の方が勝ってしまう。
「……バスタオルの下」
「え?」
「こんなんに、なってたんだ」
何のことかと考えて、あの日、風呂場で見られてしまったことだと思い出した。
「……あのとき、気付いてたんだ」
「当たり前だろ。だから、壊れたんだって、言ったやろ」
「……」
「好きになった奴の、あんなん、見せられたら、おかしなるに決まっとる」
素直な告白に、雪史の胸がとくりと反応する。
「……あれから、毎日、ずっと、どんなんだろうって想像してた」
俯いて前髪で顔を隠したまま、的野が呟いた。
雪史だって、今まで、何度も想像した。見たことのないものを想像力で補って、悪いと思いつつ、止めることもできず、幾夜も思い描いた。
再会してから今日まで何回も会って出かけて話をしたけれど、そうしながら、それぞれに、表には出さない部分で、言葉にできない想いを必死に伝え合おうとしていたような気がする。少しでも繋がるようにと、訴えるようにして、的野も自分も、初めての恋に足掻いていたんだろう。
溢れてくるいとおしさが胸を塞ぐ。雪史は身体を起こして、的野の唇に自分から触れた。
自分もすごく好きだった。触れたくて仕方がなかったということを、全身で伝えたかった。
「……ユキ」
的野が、重なっていた下肢をすり合わせてくる。敏感な薄い皮膚が縒れてこすれて、さらにきつく張り詰めていった。
「……っ、ぁ……」
縋りついた指先が震える。身体を突き抜ける鋭敏な感触に、とめどなく喘ぎと吐息が洩れた。
的野が雪史の首元に顔を埋めて、耳やその後ろに唇を当ててくる。
ふたりの腹の間に手を差し入れて、先端をまとめて握りこんできた。親指で交互に尖頭の柔らかな切れ目を嬲って刺激する。
濡れはじめたのはどちらが先だったのか、やがて滑らかに指が動きまわるようになった。抱きついていた雪史の腕を的野がふりきって、上体を起こす。短く息を継ぎながら、右手でふたりの雄の部分を絞るようにして扱き出した。
目の前で、好きだった相手が息を乱しながら、一心に快楽を追っている。的野の、細くて、けれどちゃんと筋肉もついている躯体は、橙色の薄闇の中でとてもきれいだった。
やがて的野は、昂った自分自身をそこから剥がし、雪史の下肢だけをいたぶり始めた。性器の全体をこすりあげて、その下の柔らかな部分をもう一方の手で揉みこみだす。
「あ……あ、あっ。あ、それ、……だ、め、あ、ふ……っ」
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