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第4話
不振過ぎる僕達を特に気にもしない有難い運転手へ金を払って降りる。
冷たい空気が気持ちいい。
お互い無言のまま、自分の家のドアの前に立って顔を見合わせた。
「つかぬ事をお聞きしますが、」
「ふふ、……はい」
見た目とは違って随分と丁寧な物言いの男子高校生だ。
「明日、いえもう今日になりましたが、土曜日ですね」
「そうだね」
「お仕事はお休みですか?」
「うん、お休み……です」
「……ウチで、お茶でもどうですか?」
出張ホストなんていうその道のプロっぽい仕事をしている癖に、誘い方下手くそかよ。
「じゃあ寄ろうかな」
自分の家に鞄だけ投げ込んで彼の手を取る。
行き慣れた彼の家のドアをすり抜けると、靴を脱ぐ暇もないまま電気も点けずに抱き寄せられた。
「やっとこういうこと出来る」
耳元で低く囁かれてゾクゾクした。
腕を彼の腰に回して密着すれば、ケンジさん、と掠れた声で呼ばれて顔を上げる。
「キスしよ」
返事をする暇も無く軽く重ねられた唇は、ふにふにしていて暖かい。何度も角度を変えながら音を立てて啄まれる行為に恥ずかしくなってきた。
「赤くなってる、かーわーいーいっ」
「うるさい」
熱くなる耳に低く響いて体の奥までじん、と熱い。主張を始めたソコをバレないように腰を引こうとすると脚の間にがっちり脚を絡められて阻止された。
「今のだけで勃ってきちゃったんだ。エッチだねえ」
膝で押し付けられるのが堪らない。
顎を掴まれて瞳を覗かれる。
目が暗闇に慣れてきて、彼の顔がハッキリ見えた。
仄かに香水の香りがする。
「そんな格好で何やってたの?」
「お仕事」
「……知ってる」
仕事だって分かってる。
アキくんが割り切ってこの仕事をやっていて、嫌いじゃないってことも知っている。こんな問い詰めるようなことをすれば、彼が困るって分かっているのに。
「客に指定されたの。制服でって。何度も補導されそうになって大変だったんだから」
軽く当てられるキスに我慢出来なくなってきて、自ら彼の首に腕を回して噛み付くように深くキスをした。
彼の咥内を探る僕の舌に絡み付いてくる彼のそれも器用に動いて舐め取られる。急速に昂る気持ちに、お互いぞんざいに靴を脱ぎ捨てて彼のベッドへと転がった。
アキくんが僕に覆い被さって見下ろしてくるその様は、なんだかイケナイ事をしている気分だ。
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