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第7話
福田は逃げた。
「二十年、待ちますから……帰ってきたら連絡くださいよ」
涙声の呪詛に福田は照れ臭そうに瞬き、赤い耳で笑った。
「きみは、かっこいい子だったんだな。オレに似てると思ったけど」
違った。
間近でけぶる瞳が、セクシーで堪らない。
跳ね回る鼓動を隠し、木野は当然と鼻を鳴らした。
「凄テク、身に着けておきますよ」
「ハハッ」
軽く笑って流すダンディな中年に腹が立って、全身で絡みついた。貧相な捨て身に付き合うフリで、服すら脱がない冷たい男に欲望を擦り付け、このひとの颯爽とした綺麗なところは全部汚してやろうと思った。
人生初めてのキスだった。熱く濡れた福田の中の、ぬめる粘膜に触れるのは、セックスよりも興奮した。木野は発狂しそうな自身を擦り付け、息を荒げて呻き、情けなく腰を震わせ、福田の手の中に吐精した。
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