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第10話
「カウンターは誘い待ち席だけど、あっちいく?」
「あっ、いえ、まだ、心の準備が」
福田探しに訪れたゲイバーのママはヒゲ熊で、アロハにフリルエプロンだった。
案内されたボックス席で、薄っぺらな木野はおどおどと、常連らしいビッグな女性らに話しかけた。
このバーを選んだのは、イベント情報の集まる店とネットで紹介されていたからだ。もしかしたら福田を知る人物と出会えるかも知れない。
諦め九割。それが無理でも福田をネタに、気の合う相手を見つけられるかもと、そんな期待もあった。
福田を知った今はどうにも、永遠の独り寝が、恐ろしく思えた。
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