6 / 10

第6話【二日目】失態

「…うっ!!」 衣服を手繰(たぐ)り寄せ急いで立ち去ろうとすると、腰に違和感を覚えた。 「まだ辛いでしょう。大丈夫ならシャワーでも浴びてくる?」 「はい。お借りします。」 とにかく頭を冷やしたかった。冷たいシャワーを頭から浴びていると、内股を何かが伝うのを感じた。まさかと思い手で拭うと、少し血液の混じった白濁した液が付着した。 「…やってしまった?」 それが何なのかは想像したくなかった。まったく記憶がない。まさかまさか…。 すると脱衣場で何やら物音がする事に気付いた。振り返ると、扉越しに人影が見える。 ガチャッ もしやと思った時には、風呂場の扉が開き小林が入ってきた。慌てて前を隠した。 「ふふっ、可愛いお尻が隠れてないわよ。ちゃんと掻き出せたかしら?」 「だっ、大丈夫です!!」 「本当に?」 迫り寄る小林に、必死の抵抗をみせたが、体格差にまったく歯が立たなかった。簡単に後方への進入を許してしまう。 「まだ、(ほぐ)れてるみたいね。」 「…ああっ!…やっ、やめて下さ…ぅんっ!」 優しい手付きで中を掻き出される。ところどころを(かす)める快感に、昨晩の記憶が甦った。確かにこの男と寝た事を身体が覚えている。じんわりと自身も反応を見せた。 「一応聞くけど、昨晩の事はどのくらい覚えているのかしら?」 「半分くらいは…」 「それなら、もう一回する?」 「しっ、しっ、しないです!!圭も待っているので、そろそろ実家に帰ります。」 残念がる小林に背中を流され、朝食までご馳走になると実家に帰った。 「お早いお帰りで。昨晩おじいちゃん、一人で帰ってきたわよ。いい年して、お隣さんに迷惑かけないで頂戴ね!!」 母親の嫌味に返す言葉も無かった。息子に顔を出すと、祖父のいる畑へ昨晩の謝罪をしに行った。 「じいちゃん、昨日はごめん!!」 祖父は大笑いだった。昨晩は、やたら強い酒ばかりを注文し、酔っ払って元嫁に悪態をつくと、ミチルを口説きまくっていたらしい。 その結果があれか。 しばらく自嘲しなければ。 それからは、休憩をちょくちょく挟みながら畑仕事に没頭した。午後の作業が片付くと、お盆恒例の墓参りに向かった。 先祖に手を合わせながら、あと二日間無事に乗り越えられます様にと願った。

ともだちにシェアしよう!