15 / 64

第15話

「一回、俺のヌいて」 それまで意図的に視線を外していたその場所に、蛇岐は私の手を導いた。  先ほど私が行為の続きを拒んだ所為で、彼は燻った熱を抱えてさぞかし辛かっただろう。楽にしてあげたいと思う反面、熱く滾った彼のものが私の中へ入ると思うと、堪らず怖気づいて腰が引けた。  ベッドに立膝をつく彼の中心は恐ろしいほど固く熱を持ち、はち切れんばかりに大きく膨らんで、まるでそこだけ別の生き物みたいにどくどくと激しく脈打っていた。先端からはどろりとした透明な先走りが溢れ、私に対してこんなにも反応した彼のものを目の前に安堵と共に喜びが込み上げた。  自分以外のそれに触れるのは当然はじめてで、自慰にも大して興味のない私が彼を喜ばせる自信は皆無に等しかったけれど、彼が私にしてくれたように見様見真似で上下に擦った。生唾を飲み込み慎重にそれを扱い、裏筋と先端を重点的に刺激すると、頭上で彼が吐息だけで微笑んだのが分かった。 「へたくそ」  放たれた言葉に羞恥で顔に熱が集まりそれを誤魔化す反論をしようと口を開けば、節立った彼の指が私の胸の頂きを悪戯に捻り、高い喘ぎ声が漏れた。 「ほら、ちゃんと手動かさないと」  ふたつの胸の飾りを弄ばれ、彼の手によってもたらされる鮮烈な快楽を思い出すとふしだらに腰がくねりシーツに深い皺を寄せた。  身体は隅々に存在する小さな快楽を拾い集め、未知の行為への恐怖心より、今とは比べものにならないほどの悦びをもっともっとと浅ましく強請りたくて、自らの手に握られた彼のものに夢中になった。 「また大きくなってる………」  それは赤黒く凶器のようにそそり立ち、いくつもの太い血管を浮かせて私の手の中でびくびくと震えた。私の不慣れな動きでは両手を使って擦っても彼に絶頂を迎えさせるのは難しいと思っていたけれど、いつの間にか彼の息遣いは荒く乱れ表情からも余裕が薄れ始めると、私は嬉々として拙い上下運動を繰り返した。 「んっ、久留須くん……………」  彼のものを擦りながら自らも感じ入り、私まで中心を熱く立ち上がらせはしたない声を漏らした。青臭く滑った精液で汚れた手は、それすらも私の情欲を激しく刺激した。きつく彼のものを握りしめると、また一段と膨らみを増したそれに限界が近いことを予感して私自身も高まった。 「擦って………出す」  低く呟かれると私の両手の上に彼の手が重なり、素早く追い打ちをかけられた。既に私の手は添えられるのみとなっていたけれど、彼が目を閉じ快楽に眉を寄せる様を見て恍惚とした想いを抱えた。そして大きく脈打ち彼が一瞬息を詰めると、濃く粘つき白濁した精液が私の手と胸に勢いよく弾けた。 (あつい………)  想像していたよりもずっと熱い。熱くて、奇妙な充足感に満たされた。彼は自らの放った精液をそのままに、私を押し倒すと柔らかなキスを交わして奥の蕾に触れた。 「あッ……………」  腰が跳ね身を捩ると彼は優しく丁寧な愛撫を全身に施し、私の胸に飛び散った精液を指に掬い取るとそれを蕾に塗り込んだ。私は目を閉じ、少しでも彼の助けになればと身を落ち着かせるように何度も深呼吸を繰り返した。 「ほら、指、入った」  彼は私に知らしめるように中の肉壁をぐるりとなぞり、身体の内側を触られるという感覚に背筋が粟立ち強烈な違和感に襲われた。  彼は努めてゆっくりと指の抽挿を繰り返し、私の息が一瞬でも詰まる度、動きを止めて私を見守った。入り口の皺を伸ばすように指を押し付けられると、余裕のない呼吸の合間に艶を帯びた声が漏れた。彼はそれを見逃さず、蕾に出来たほんの少しの隙間に更に指を滑り込ませた。 「二本目」 「ああ……………!」  彼は再び自身の出した精液を掬い取ると、蕾を押し広げてその中に流し込み、それまで大人しくさせていた指の動きを増やして再び抽挿を繰り返した。その動きが次第に速度を持ちはじめ、品のない水音が自らの下半身から響くと羞恥から内股に力が入った。閉じようとする脚を彼が抑え込み、中を確かめるように丹念に解して更にもう一本指を添えられると、噛みしめられた歯の隙間から心細い声が漏れた。 「……………三本目」 「はあっ、んん、ぃぁあ………!」  ついに三本目までを受け入れて、きつい圧迫感に悶える私の緊張を逃すように彼の手が中心を擦り、そうされると後孔は無意識に彼の指を締め付けた。

ともだちにシェアしよう!