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高そうな革のソファに押し倒された時にはもう、どこかいやらしさを孕んだ 彼の甘い香りに支配され、それが僕をおかしくさせていた。 「ま、待って…」 いきなりスラックスのボタンに手をかけられ、思わず声を上げると、まるでうるさいとでも言うかのように唇を奪われた。なすがままの僕に眼鏡を外す暇などなかった。 わずかな隙間から強引に入ってきたかと思えば、ねっとりと舌を絡め取られる。上顎や歯の裏側まで余すところなく堪能され、なんだか恥ずかしくなった。 「んん…っ、ぅ…ん…」 彼に触りたいという気持ちは本心だったものの、いざとなると緊張してしまうもので。キスの最中でも、彼は躊躇うことなく僕のズボンを脱がせていくが、僕はなかなか手を出せずにいた。 「ぁ…やだ、あんまり…見ないで」 ようやくキスから解放されたかと思えば、今度は下着姿を晒す羽目になる。明かりのついたダウンライトが今は憎ましい。 息も絶え絶えにそう伝えたが、その言葉は彼を煽るだけだった。 「…もう濡れてる。そんなに気持ち良かった?」 下の方へ目を向ければ、紺のボクサーパンツの一部が濡れて黒っぽくなっているのが分かる。 掛けたままの眼鏡のせいで、目にしたくないものまでもが鮮明に見えてしまっていた。 「ち、ちが…」 「違わない。…ほら」 「あぁ…っ!…や、だ…そこ、やぁ…」 親指の腹で先端を擦られ、あまりの快感に腰が引ける。ぼんやりとした意識の中、僕は声を抑えることも忘れていた。 布がじわりと濡れる感覚になんだか泣きたくなった。 「ぁ…っ…僕ばっかり、やだ…」 触れ方も、手の温度も、力の強さも、自慰をする時とはまるで違っているのに、不思議と違和感はない。 下着越しに与えられる刺激は達するには弱く、もどかしいものでもあった。ちゃんと触れて欲しいとは思うものの、そこまでしてもらうのは悪い気もする。 「君も、君のも…」 抵抗がないわけじゃない。 ただ目の前にいる余裕のない顔をした男を気持ち良くしてあげたいとは思う。彼が自分にしてくれたのと同じように。 下衣の縁に手をかけると、一度は払いのけられたものの、それきり抵抗の素振りは見せなかった。 思い切ってスウェットを下ろすと、そこには反り勃った立派なモノが。 どうやら下着まで一緒に下ろしてしまったらしい。 「…っ、アンタ…随分大胆なんだな」 「ぁ…ご、ごめんなさい…」 想定外の出来事に狼狽する。 あいにく他人のその部分に容易く触れる勇気を持ち合わせていない僕は、ソファの背もたれの方へ顔を向け、なるべく卑猥な光景を目にしないようにした。 「触ってくれるんだろ?」 男は行き場を失い 空中でさまよっていた手を掴むと、自らの昂りまで導いていく。 そこはさっき布越しに触れた時よりも固さを増しているように思えた。 「…雪」 不意に名前を呼ばれ顔が熱くなる。紅く染まっているであろう耳に軽くキスをされ、僕はその手をそろそろと動かし始めた。

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