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強引にその手を性器に纏わせると、組み敷いた男はまるで処女のような反応を見せる。
俺から言い出したことではないが、そんな反応をされると まるで俺の方に非があるみたいだ。
「おい…っ、ちゃんとこっち見ろよ」
「…や、だ…恥ずかしい…し」
この期に及んでまだそんなことを言っているのか、と思い呆れたようにため息を漏らす。
惚れた相手に見られているというなら“恥ずかしい”と思うこともあるだろうが、昨日出会ったばかりの男に対して抱くものではない。お互い相手のフェロモンに当てられたに過ぎないのだから。
「ちょ…っやだ、何で…脱がすんだよぉ…」
「俺だけなんて不公平だろ?」
濃紺の地味なボクサーパンツを下ろすと、そこには俺のとはまるで違う“男”がいた。
乱暴にすれば壊れてしまいそうなモノは、外気に触れ トロリと蜜を零す。鈴口から溢れた透明な液体を潤滑剤にして 先端を擦ってやると、男は“いや”を繰り返しては腰を揺らした。
「ぁ…あっ、ン…ゃ…いや…」
何となく分かったことだが、この男の“いや”は“いい”と同じようなものなのだろう。
俺のモノを慰めることも忘れ、悩ましげに頭を左右に振りながら 快楽に溺れていく姿は、ひどく煽情的だった。
「…も、っ…出そ…だから」
理性をかき集め 出来るだけ優しく屹立を扱きあげると、男はいとも簡単に果てようとする。
彼が興奮するほど濃くなっていく香りに、俺の我慢の限界も近づいてきていた。
「くそ…っ」
明らかに大きさの違う2つの性器を一緒くたにして弄る。中に入りたいという気持ちを完全に拭えたわけではないが、それは“アルファ”としての感情だった。
そこには愛も相手への想いも要らない。セックスとは程遠い行為に過ぎないのだ。
「ぁ、…あっ…だめ、だ…そんなに…したら」
気持ちいいのか男の目は潤み、眦には涙が溜まっている。
俺の手の中で揉みくちゃにされた性器はピクピクと跳ね、限界が近いことを知らせていた。
「も…出る、…ン…っ、ぅ…ん…!!」
ピッチを上げると 男は声にならない声を上げながら絶頂を迎える。射精に勢いはなく、押し出されるようにして白濁は彼の腹を汚した。
「…悪い。っ…手だけ、貸して」
微かに頷いたのを確認して、くたりとソファの外へ放り出されていた男の左手を取り、もう一度 俺の昂りまで導く。
自分とは違う柔い手の感触。
一度 達してもなお放たれ続ける甘い匂い。
乱れた着衣と艶やかな表情。
俺が精を吐き出すのにそう時間はかからなかった。
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