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年末年始は休む暇もないくらい忙しい日々が続いたので、僕にとって今日は久しぶりの休みだった。 「こんにちは。茅野さん」 「…こんにちは」 とは言っても 病院に行かなければならなかったのだけれど。 この一週間でわかったことは、たとえ絶望の淵に立たされていたとしても、人間はなんとか生きていけるということ。 「来てくれて良かったです」 安堵したような言葉とは裏腹に、先生の顔はどこか曇っていた。 「ちゃんと食事は取れていますか?」 「…あんまり、食欲がなくて」 「夜は眠れてます?」 「まぁ…何とか」 「吐き気や目眩も頻繁に?」 「はい。あと頭痛も…ですね」 横目で見たパソコンの画面には、僕には分からないような難しい言葉が羅列されている。 入院生活を送っていたとはいえ、やはり病院に来ると緊張してしまうもので、僕は終始ソワソワしていた。 「…では、薬を変えましょうか」 馬渕先生によると、薬を変えれば 副作用は軽くなるらしい。しかし、発情期を100%抑えられるとは限らないようだ。 「もし薬を変えるのであれば、一週間ほど仕事を休んでいただいた方が良いかと思いますが…」 「それは…」 一度開いた口はしばらく考えた末に閉ざした。 彼も彼なりに最善の策を思案してくれているであろうことは何となく伝わってくる。それでも彼は、僕の気持ちや状況まで全てを理解しているわけではないのだ。 自分が当事者にならなければ分からないことが、この世には沢山ある。 その後もしばらく薬のことや発情期を迎えてしまった時のことを色々と話してくれたが、僕にはまるで他人の話を聞いているかのように思えていた。

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