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「…社長。 その溜まりに溜まった書類を、いい加減に片付けて下さいませんか」 「…嫌だ」 「三つ四つの駄々っ子ですか。 生木を割くように離されて辛いのは、貴方だけではこざいませんのに」 「う……っ」 痛い所を突かれ、続ける言葉もない。 銀縁の眼鏡フレームをついと指で押し上げたのは、元ドS筆頭秘書で現腕利き常務の弓削だ。 「伴侶と引っ剥がされてあの人が平気な訳がないでしょう? 一日…いや、片時も離れたがらないというのに。 これだけ長期間離されて、禁断症状に陥っていない訳がないんです」 「………ッ!!」 「機密漏洩に繋がるからと外部から遮断され、旦那さまとのコンタクトも出来ていないんです。 どれだけのストレスに晒されているかお考えください。 今の内にキリキリ働いて頂かなくては、お戻りになった時にラブラブ休暇に入れなくなりますよ。 宜しいのでございますか?」 「………っ、休暇…っ!?」 ガバッと起き上がった龍嗣に、人の悪い笑みを浮かべて弓削は頷いた。 「ええ。 やむを得ず引っ剥がしてしまいましたので、二人っきりのラブラブ休暇を。 あの方もそれを励みに頑張っておいでですよ」

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