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カリカリカリカリ。 たんッ、たんッ、たんッ!! カリカリカリカリ。 たんッ、たんッ、たんッ!! 次々決済されていく書類の山。 やっつけ仕事などではなく、きっちり内容を確認してからサインを入れてハンコを押す。 普段から真面目に熟していればこんなに溜まったりはしないのだが、敢えて弓削は言及しないことにした。 カリカリカリカリカリカリカリカリッ!! たんッ、たんッ、たんッ、たんッ、たんッ、たんッ!! 疲れを感じる度に瞼の裏に現れる伴侶が微笑み、龍嗣を奮い立たせてくれる。 こんな書類の山など、禁断症状に陥っているであろう璃音を思えばどうって事は無いのだ。 「………っ!!」 花のような微笑みを浮かべてオイデオイデをされ、妄想の世界にうっかり足を踏み入れそうになり、慌てて現実に意識を戻す。 目指すは璃音とのめくるめく長期ラブラブ休暇ただ一つだ。 「弓削ッ、もっと書類を持ってこいっ!!」 氷室龍嗣42歳。 伴侶のためなら書類の山などちょろいもんよと、決済の速度を上げていった。

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