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綺麗さっぱり蝶番ごとドアが吹き飛んだ入口から、爛々と目を光らせた影が見えた。 「「な…っ」」 呆気に取られる龍嗣と弓削。 「落ち着いて下さいっ!!」 「やっ!! 離してえっ!!!!」 押さえようとする警備員を振り切ろうとしている人物の聞き覚えある声。 「もうっ!!」 「うわ~っ!!」 「ぎゃ~っ!!」 ドップラー効果を残して遠くなる警備員の声。 何かが壊れる音。 平素では有り得ない事象に、龍嗣も弓削も目が点だ。 ズシン。 ズシン。 母と同じような重低音を響かせて歩く影。 ゼイゼイと息を切らせ、肩が大きく揺れている。 「…僕の…邪魔……するなんて、…絶対…っ……許さな……っ!!」 「……………」 艶やかだった髪は乱れに乱れ、優しい光を湛えていた瞳は爛々としている。 いつもの甘える姿とは全く違う、野生動物のような荒々しい姿。 「………どいてッ!!」 後ろから押さえ付けようとした警備員が宙を舞い、見事な放物線を描いた。 「璃音?」 「……………………っ!!」 最愛の人からかけられた声にビクリと身を震わせ、璃音は漸く顔を上げた。

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