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◆◇◆◇◆ 絶対的な安心感をもたらす香りが鼻を擽る。 一番大好きで、常に傍にあるのが当然だと思っていた。 研究ラボの納品が無ければ、多分離れたりはしなかった。 龍嗣の傍に寄り添い、肌に触れ、香りを感じていなければ、璃音は心の平穏が保てない。 平穏が保てなくなれば、不安が心を支配し、日常のことすらままなくなる。 仕事だと自分に言い聞かせても、誤魔化しは効かない。 「………?」 久々の熟睡から覚めて、璃音は辺りを見回した。 「ここ…?」 簡易ベッドでもなく、無機質な内装でもない。 結婚してからずっと寝起きしている部屋だった。 「夢…じゃ、ない…?」 窓の外の景色を見ている内に意識が朦朧としたから、てっきり帰る夢を見ただけだと思ったのだが…。 「夢じゃない…の…かな…」 壁も天井も、見慣れたもの。 何より、寝具から大好きな龍嗣の香りがする。 トントントン…。 階段を上がって来る足音も、龍嗣のもの。 カチャッ。 「…………っ」 出来る限り静かにドアを開けたのだろう。 反射的に、璃音は目をきつく瞑った。

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