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進撃(いや喜劇…いやいや悲劇!?)の学会4

***  イヤな不安ほど的中するものはない―― 「久しぶり~! とは言っても1ヵ月半ぶりの再会だけどな」  待ち合わせ場所に現れたスーツ姿の男は、タケシ先生の姿を見た途端に、微笑みの貴公子みたいな、イケメンすぎる笑顔を振りまいた。  研修医時代に指導をした人だと聞いていたから、てっきりものすごく年上だと思ったのに、童顔のせいか、タケシ先生と兄弟と紹介されても、違和感がない感じがした。 「1ヵ月半ぶりでもお久しぶりです。御堂先輩」 「相変わらず、可愛くない返事しやがって」  言いながら隣にいる俺に、視線を飛ばしてきた。俺とたいして背の高さが変わらないため、びしばしと視線が顔に突き刺さること、この上ない。 「はじめまして。看護学生の王領寺 歩と申します。今日はワガママ言って、タケシ先生について来ました」  訊ねられる前に自分から口を開いてみたら、その行動に驚いたのか、タケシ先生がまじまじと俺を見つめてくる。  ふたりの視線を受けて、逃げ出したいほどの衝動に駆られたけど、ここで怯んじゃダメなことくらい分かっていた。  なんてったってコイツは、愛しのタケシ先生の唇を奪ったヤツなんだ。ここは俺が、しっかり守らないといけない! 「周防ってば俺が手を出せないように、小さな番犬を連れてきたのかよ?」  くっくっくと小馬鹿にしたような薄ら笑いを浮かべ、あからさまに俺のことを見下してきた。 「……榊原教授はどうしたんですか?」  御堂の質問をスルーし、えらく真面目な顔を作りこんで話しかけるタケシ先生。こういう雰囲気を漂わせたときは、俺でもなかなか触れることができないんだ。 「教授には先にホテルに行ってもらった。学会のリハがあるし、出席者同士の積もる話があるから、邪魔しないようにしないとさ」  タケシ先生の質問に答えているくせに、視線はずっと俺にロックオンしたまま。まるで値踏みをするかのようなそれに、思わず怯みそうになってしまった。 「大人の男よりも、若い男に走ったってわけか。何か意外……」 「何がですか?」 「見た目しっかりしてる割に、心の内が弱い周防には、包容力のあるヤツが似合いだと思っていたのに。これじゃあ、張り合えないじゃないか」 (――張り合えない、だと!?)  御堂の言葉にカッとなって、言い返そうとしたら、タケシ先生の右手が俺の口元を覆った。

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