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進撃(いや喜劇…いやいや悲劇!?)の学会5

「小さな番犬の無駄吠えを防ぐために、周防自ら口を塞ぐとはな。手がかかる分、可愛いんだろ」 「そうですね。愛着がわきます」 「なるほど。自分の言うことをよく聞く、忠犬が欲しかったというわけか」  俺のことを馬鹿にするような御堂の台詞にあえて答えず、ただ微笑みを返すタケシ先生の意図が、さっぱり分からない。そんなんじゃないと反論したいのに相変わらず俺の口は、タケシ先生の右手で覆われたままだし。 「周防は忠犬だと思っているだろうけど、本人は違うんじゃないのか?」 「違いとは、何でしょう?」  御堂は、さきほどまで浮かべていたキラキラした笑顔をすっと消し、質問したタケシ先生じゃなく、睨みつけるほどの真剣な目つきで俺を見やる。 「ワガママ言って、ここまでついて来た王領寺くんは、周防を信用していない、忠犬だと思っただけさ」 (一番信用できないのは御堂、てめぇのことだよ!) 「信用というより心配したから、ここに来たんでしょう。御堂先輩が俺の断りもなく、勝手にキスしたりその他諸々、セクハラ行為を進んでしていることを、知っていますからね」 「……俺にされたこと、わざわざ報告したのか!?」 「しましたよ。恋人なんですから、隠し事はなしにしたいんで」  タケシ先生がにこやかに告げると、口から手が下ろされ、喋ることが解禁された。 『俺のタケシ先生に、いろいろやってくれたのな。ぁあっ!?』  と凄んで文句を言いたいのは山々なれど、御堂相手にそんなことをしても、糠に釘だろう。何をしたら、一番堪えるんだろう?  ぶわっと考えること、数秒で導き出したものは――  無言でタケシ先生の腰を抱き寄せ、自分にぴったりくっつけると、カーブを描いた頬に、ちゅっとキスをしてやる。 「ちょっ、なにするんだっ」  らしくないくらい狼狽え、顔を赤くしてジタバタする身体を、両腕を使って拘束した。 「タケシ先生は俺のなんです。手を出さないでください!」  本当は唇にキスして見せつけたかったけど、そこまでする勇気がなかった。間違いなくタケシ先生に、あとから叱られるであろう。 「いい加減に放せよ」 「嫌だね、絶対に放さない」  もう少し怒りが半減してからじゃないと、自分の身が危ういから放せないんだ。  そんな俺たちの様子を、ぽかんとした表情で、御堂が見つめ続けた。

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