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Love too late:揺れる想い3
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「太郎のヤツなんで、あんな嬉しそうな顔するんだ……」
頭から冷水を浴びながら、脳裏に太郎の顔が、ぼんやりと浮かんでしまう。たかが卵焼きが上手く巻けたくらいで、あんなに目を細めて笑うことないのに。
「あ、そうか――」
太郎の笑顔がいいって言っていた、看護師の話を思い出した。
普段大人っぽい雰囲気なのに、子どものように無邪気に笑うから。そのギャップにやられるのかもしれない。笑うと目がなくなるくらい、それはそれは嬉しそうに笑うから。
「そんなことくらいじゃ、俺は落ちないけどね……」
シャワーのスイッチを押して温水に切り替え、いつものように体を洗った。
「太郎のヤツ、出来ない料理なんてしやがって。そんなことしたって、簡単になびかないのが分るだろうよ」
ヤツの押しの強さは、舌を巻くレベルだ。手を変え品を変え、次から次へと俺の想像を超えたことを、見事にやらかしてくる。
「その一生懸命さに応えてやらないと、太郎の命はどんどん短くなってしまうんだよな」
ここ数日、不意打ちのキス以外、手を出されてはいない。俺に好かれようと必死になって、いろいろと頑張っている姿――
「……真実の愛ってのに溺れてみるのも、案外悪くはないか」
医者として周防 武個人として、太郎には死んでほしくない――結局、アイツはいいヤツだから。
「いきなり俺から寄り添ってきたら間違いなく、すっごく驚くだろうな」
飴とムチで表現するなら、ムチばかり振るっていた。
「――極上の甘い、飴をくれてやるとするか……」
甘いものは苦手だけど、太郎のためなら致し方ない。
自分の決心を引き締めるように、シャワーをきゅっと止めた。鏡に映る自分は、口元に笑みを浮かべている。
太郎を生かすために頑張ろうと思った。
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