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Love too late:真実の愛3

「相変わらず、チャラ男やってんだな。早速病室に男を連れ込んで、あんなふうに泣かせるとか」  どうして、ここにいるんだよ? 「やっぱ、すぐに手術したんだな。首の包帯、苦しくないか?」 (どうしてこの状況で、明るく笑っていられるんだよ? いつもならここは、不機嫌になってるトコだろ……)  タケシ先生は、呆然としてる俺の傍までやって来て、首に手を伸ばし、包帯にそっと触る。その手を迷うことなく、ぎゅっと握りしめてやった。タケシ先生のあたたかいぬくもりが、じわりと伝わってきて、俺の胸を熱くさせる。  久しぶりの再会を噛みしめていると、目の前で少し困った表情を浮かべて口を開く。 「このバカ犬が! 出て行くならあんな絵を置いてくよりも、置手紙してから出で行けって」  そんな俺の手をぎゅっと力を入れて、更に握り返してくれる。 「気に入らなかった?」 「いいや、嬉しかったよ。診察室の目のつくところに、きちんと飾っておいた」  相変わらず穏やかな口ぶりに、違和感を覚える。絶対におかしい――なんでそんな優しい目をして、俺を見つめるのだろうか。そんなことされると、タケシ先生がなにを考えてるのかわからなくて、調子が狂ってしまう。 「タケシ先生、あ、のさ……」 (しかも、どうやって俺のことを調べたんだろう?)  聞きたいことが頭の中を過ぎるけど、タケシ先生のにこやかな笑顔を見ているだけで、まるで氷が溶けていくみたいに、質問がなくなってしまう。 「悪い、ちょっとトイレに行って来る」  俺の手をやんわりと振り解き、足早に去って行く背中を、ただ見つめるしかできない。 「タケシ先生……」  ――ずっと逢いたかった――  病院のベッドにひとりで寝ていると、思い出してしまう。すぐ傍にあった、愛おしい人のぬくもりを。  タケシ先生ってば、広いダブルベッドで寝ているのに、いつも隅近くでゴロンと横になっていて。空いてるスペースがまるで、俺の定位置みたいに、なぜだか感じられたんだ。  背中をちょっとだけ丸めて眠る体に、そっと寄り添うことができるだけで、すっげぇ幸せだった。なのに今は、ワザとにこやかな笑顔を作って、俺との距離をとってる感じがする。これならまだいつものように、ガツンと怒ってくれたほうが数倍マシだよ。 「マジでタイミング悪いったら、ありゃしねぇ……」  ベッドの中で、頭を抱えるしかない。他人行儀なタケシ先生の接し方が、全然わからなかった。

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