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告白のとき(歩目線)一緒に島へ2

***  フェリーが港に横付けされ、俺らを含めて、数人の客が降りて行った。    出迎えてくれたのは、自転車を傍らに、白衣を格好よく着こなしている、白髪混じりのメガネをかけた、タケシ先生によく似た人―― (まんま、タケシ先生を老けさせたみたいじゃん!)  お父さんに向かって、ふたり並んで歩いて行く。ドキドキが高鳴ってしまい、手と足が一緒に、カクカクと動きそうになってしまった。 「もしかして、診察の帰り道だったの?」  開口一番に話しかけた、タケシ先生をチラッと見てから、俺に視線が移される。明らかに、何だコイツはという眼差しが痛い――  初めて、タケシ先生に逢ったときにされたような眼差しが、違う意味で更に俺の心拍を高鳴らせた。  ――懐かしさを感じるよりも、恐怖を感じるよ…… 「ああ、元気そうだな。タケシ」  タケシ先生に話かけているのに、刺す様な視線は、俺に釘付けのまま。  震え上がる俺を尻目に、タケシ先生は突然スマホを取り出して、あちこちの風景をカメラ撮影をしだしたのが、すっげぇ謎だ。  緊迫したこの空気を物ともせず、マイペースを貫けるのは、タケシ先生らしいといえば、そうなんだけど。 「変わらないねぇ、島も親父も」 「俺は変わらないが、そこにあった建物が、昨年の爆弾低気圧で吹き飛ばされて、なくなっているから」 「あっ、ホントだ。スッキリしちゃった感あったのは、それが原因か。おおっ!? 島に似合わないイケメン漁師、発見!([+]Д・)」 「彼は、元ホストだったそうだよ。今はちゃんと、島に馴染んで生活している」  交わされる他愛のない会話に、当然俺は口を挟めず、ただ黙って聞くしかなかった。 「元ホストね。漁師なんて博打みたいな仕事しないで、ホストに戻った方が、金銭的に生活が楽そうだけど」 「どんな仕事にも、楽なものなんてないだろう。コイツは誰だ?」    ビシッと指を差され訊ねられたので、タケシ先生が答える前に、何とかしなきゃと頭を下げる。 「はっ、はじめまして、お父さんっ! 王領寺 歩と言います」 「おとうさん?」  不機嫌そうな声色で言われてしまい、震え上がってしまった。 「す、すみませんっ。周防先生っ!」  言い直しつつ、隣にいるタケシ先生に視線を飛ばす。これで大丈夫? ねぇこれで大丈夫? ってな感じで。 「あんまり、苛めないでやって。多分ウチの病院を、この体で支えてくれるであろう、未来の看護師なんだから。こんなんで、ガッカリしたんでしょ?」 「別に……」  肩を竦めて苦笑するタケシ先生と、俺から目を逸らし、口元に笑みをうっすらと浮かべているお父さん。  この顔は、タケシ先生がよくする誤魔化しの笑みなんだ。なので、落胆しているのが決定的だった。 「ガッカリついでに、もうひとつ。俺たち、付き合ってるから」  ・・・・・Σ( ̄⊥ ̄lll)ズバッと言ったね。  内心、冷や冷やしている俺に、仲よさそうな感じで肩を手に置き、わざわざアピールするタケシ先生。 「付き合っているって、何だそりゃ」 「親父が考えてるような、友達付き合いじゃないよ。コイツとSEXしてる。肉体的な深い関係なんだ」 「お前……」  <(゚ロ゚;)>ノォオオオオオ!! ナンテコッタ!!  あまりの衝撃的な発言に、お父さん目を見開いて、固まってしまったじゃないか。  一方のタケシ先生は、堂々と発言出来たのが満足だったのか、胸の前に腕を組み、してやったりな顔をしていた。 「王領寺くん、君はタケシに、いくらで雇われたんだ?」 「は――!?」 「雇われたから、渋々こんなへんぴな所まで、コイツに付き合っているんだろう?」 「親父……コイツを雇ってないよ。れっきとした俺の恋人だ。それに王領寺家は、地元で名家だっただろう。故に金には、苦労していないから」  不敵に笑ったタケシ先生が、俺の首に両腕をかけて、強引に引き寄せたと思ったら唇を重ねる。    しかも唇を重ねただけじゃなく、ねっとりとして濃厚なのを、お父さんの目の前でやってくれちゃって―― 「俺たちは、こういう関係だから。だからもう、結婚だの孫だの言わないでくれ!」  呆然と立ち尽くすお父さんをそのままに、タケシ先生は俺の手を強引に引いて、山の方に向かって歩いて行った。  つづく

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