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 —— 身体と愛と涙味の……(20)

 —— プロポーズ?   なんかびっくりして、目が覚めてきたぞ……。 いや、これは、みっきー特有のジョークかな。 俺が本気にして慌てるのを面白がってるんだ。…… と、思う……。  だけど、背中から俺を抱きしめているみっきーを、肩越しにチラッと振り返れば、これ以上ないくらいに真剣な眼差しに囚われて、目を逸らすことが出来なくなってしまった。 「あ、でも、俺……」  だから俺も、真剣に考えて応えないといけないと思ったんだ。 「…… 何?」 「もう、俺の息子、勃たないかも……」  あー? 俺、こんな時に何言ってんだ? って、言ってしまってから思ったけど。 …… だけど、プ、プロポーズって、その先にあるのは結婚でしょ? 生活でしょ? だからこれは言っておかないとって、なんか頭の中に浮かんでしまったのを、そのまま口に出してしまったんだ。 「えーーー?なんで? 何の心配? 昨夜、あんなに元気だったじゃん」 「それは、なんか桜川先輩に薬を飲まされたから…… あの前に、ゆり先輩に迫られたのに、勃たなかったから……」 「ぶーーーーーーーーーっ!」  みっきーは、俺から体を離して、文字通り腹を抱えて笑っている……。 「ちょっ、笑いすぎ! 真剣に悩んでいるのに!」 「ごめんごめん、じゃあ、今から試してみる?」 「え? 今からヤるって事? 俺、もう後ろ無理だよ?」  慌ててベッドの端へ逃げる俺。 「だから、そこは使わないから…… ね?」  そう言いながらみっきーは、また俺の体を抱き寄せる。 大きな手に顎を掬い上げられて、そのまま唇を塞がれた。  侵入してきた舌は、ゆっくりと優しく俺の咥内を愛撫する。  優しい刺激は、逆に快感で気持ちよくて、じわじわと腰にくる感じで。  そこに熱が灯るのに、時間はかからなかった。 「ほら、硬くなってきたじゃない」  みっきーはそう言いながら、イージーパンツのゴムの隙間から手を滑り込ませて、下着の中の俺のモノに指を絡ませる。  ゆっくりと上下するみっきーの手が気持ちよくて、身体の奥が疼きだしてくる。  —— あぁ…そう言えば……。  ゆり先輩とはダメだったけど、その後、透さんの口で達った時の感覚を思い出して、下半身硬くしてたんだった!  なんだ…… 俺……、女の子は本当にもうダメなんだな……。 なんて、今更ながら自覚してしまった。 「直、気持ちよさそう。 もっと気持ちよくイかせてあげるから、その後ちょっと眠ろうね」  そう言いながら、みっきーの頭が俺の下半身へと移動して、ズボンも下着も下ろされて…… 柔らかい唇が、雫を滴らせ始めている蜜口に、優しく口づけた。  先端から温かい咥内へ迎え入れられて、感じる場所を知り尽くした、みっきーの舌が絡み付き、淫らな水音を立て始める。  みっきーがくれる快感を身体は素直に受け入れた。 すぐに目の前が真っ白になっていく。   昇り詰めた熱をみっきーの咥内へ放った頃には、俺は気持ちよくて、ふわふわと意識が遠のいて眠りに落ちていった。  仄かに……、煙草の匂いがしていた。  —— あぁ、この匂い……、嫌いじゃないかも……。

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