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 —— 想う心と○○な味の……(6)

 店内で流れている音楽が、低く聴こえている。  古木風に仕上げたアンティークなウッドフロアを歩く靴の音すら、この部屋まで届いている。  さっき俺が椅子から落ちた音や声も、店の方に聞こえてるんじゃないかと思う。なのにみっきーは、全然止める気配がなくて、服の下へ侵入してきた手は、胸の尖りを撫で回している。  密着した腰が、ジーンズ越しにお互いのモノが硬く主張している事を教えてくる。 「……ンっ……ん、……っ」  俺は、今にも零れ落ちそうな涙と、嫌でも漏れてしまう甘い声を隠したくて、片方だけ解放された腕を自分の顔に押し付けた。  与えられる刺激は気持ちよくて、中心に熱が集まるのを止める事ができなくて、半ば…… もう、このまま流されてもいいか…… なんて考えが頭を過ぎる。 「直、もう透の事は忘れなよ」  耳を擽るような、いつもよりも一段と低い声に、ゾクリと身体が反応するけど……、なんとなく聞き流した言葉に、ふと、引っかかりを覚えた。  あれ?……今、「透」って呼び捨てにしなかった?  確かに……透って呼び捨てた。  偶々なのか? それとも、俺がいつまでも、グズグズと考えているからイラついた? 「……俺にしときなよ」  みっきーは続けてそう囁くと、俺の耳に唇を押し付けて、苦しい程に抱き締められた。 「……みっき?」  顔を隠した腕を上げて、みっきーを覗き見ると、少し困った顔をして微笑んでる。 「……何か、あったの?」  今日のみっきーは、どこか変だと思った。車に乗ってる時からずっと。 「もしも、もしもだよ? 俺と会えなくなったら、直は寂しい?」  お互いの鼻先が触れ合うくらいの距離で見つめられて、みっきーは少し甘えたような声でそう言った。 「……? そりゃ、寂しいと思うけど? どっか行くの? みっきー」  さっきまであんなに抵抗しても放してくれなかったのに、みっきーは俺を抱き起こすと、傍の椅子に座らせてくれた。 「少しの間、会えなくなるのじゃなくて、もう二度と会えなくなったとしたら、直はどうする?」 「え?」  どうするって言われても……あまりにも唐突過ぎて、意味が解らない。みっきーが何を言いたいのか。  二度と会えなくなるって、どういうことなんだろう。

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