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 ―― 想う心と○○な味の……(49)

「どうぞ……」  透さんは狭いって言ってたけど、通された新しい部屋は、前のマンションよりも少しだけ小さい感じだけど、決して狭いわけじゃない。 「バタバタしていたから、まだ全部片付いてないんだけど」  部屋の隅にダンボールがいくつか開けてないのが置いてあるけど、  ―― 俺の部屋に比べたら、全然片付いてるし……。  まだ建ったばかりのマンションなのか、新築の匂いがしている。  新しい部屋の中をキョロキョロ眺めていると、繋いだままだった手を引き寄せられて、抱きしめられた。 「…… 直くん、」  ぴったりと、お互いの頬がくっついて、耳元で名前を呼ばれると、一気に顔が熱くなる。 「ね、どうする? 先に食べる?」 「…… へっ?」  な、何を?!俺を?! って、アホな事考えてしまって、声が上擦ってしまった!  けど、透さんの視線は、俺の手にある紙袋で……。 「…… どうしたの? 直くん」 「え? あ、いや…えーと、た、べようーかなー」  透さんの問いに、俺の口から出た言葉は、えらくしどろもどろで。 透さんは、可笑しそうにクスクスと笑ってて、もう恥ずかしくて顔が上げられない。 「俺は、直くんを先に食べたいんだけどな」  顔を上げられない俺の耳元で、そう囁かれて、一気に身体中が熱くなった。  頬を両手で包み、顔を覗きこんで、「だめ?」って、訊きながら唇を重ねる。  ―― そんなの……、駄目なわけないじゃん……。  言葉には出さずに、唇を割り挿ってくる透さんの舌に、自分の舌を絡める事で伝えた。  一度だけ角度を変えて浅い口づけを落として、すぐに離れてしまう透さんの唇を、物足りなさに追いかければ、クスッと悪戯っぽく笑いながら、俺の手から紙袋を奪い取ってしまう。 「じゃあ、冷蔵庫に入れておくね」  そう言って、中から取り出したクッキーシューの箱を冷蔵庫に入れてパタンと扉を閉めると、振り向きざまに抱き寄せられて、また唇が重なる。  背中に回った手に強く抱きしめられて、俺は少し背伸びをして透さんの首に腕を絡めた。 途端に咥内で甘く舌を絡め取られて、合わさった唇の隙間から熱い吐息が零れる。  ―― キスって不思議だ。  今までも何度も交わしてきた透さんとのキスは、その時々で感じ方が違う。  初めてのキスは、甘い痺れるような快感を感じながらも、戸惑っていてどこか不安で。  みっきーとの事を透さんが知った時のキスは、とても痛くて、切なくて、苦かった。  お互いの気持ちが寄り添った今のキスは、心が嬉しいと叫んでいて、凄い幸せで、今までした中で一番蕩けそうに甘い。  その時その時に感じる想いが、色んな味があると教えてくれる。  角度を変える度に見詰めあって、唇が触れたまま微笑み合って、また深く口づける。 もうそれだけで心が満たされていく。

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