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 —— 想う心と○○な味の……(50)

 見詰め合っているだけで相手の気持ちが伝わって、キスを繰り返しながら、自然に寝室へと移動する。  キスの合間に、お互いの服を剥ぎ取るように脱がせていって、キッチンから寝室までの間に、ジャケットやシャツを点々と落としていく。  ほぼ後ろ向きに歩いていた俺の脹脛が何かにぶつかり、ベッドまで辿り着いた事が分かる。  流れのまま腰を下ろすと、ベッドのスプリングに微かに身体が跳ねた。  座ったままの姿勢で、ベッドの中央へ後退りながら移動すれば、追いかけるように透さんが身体の上に覆いかぶさってきて、深く唇を重ねる。  俺は透さんの首に腕を回して、もっと欲しいと強請るように、そのしなやかな身体を引き寄せた。  咥内に侵ってきた舌に、感じる処を優しく愛撫されて俺もそれに応えて、ダウンライトの優しい灯りに包まれた部屋の中に水音が響いた。 「…… ん、…… ふ…… ッ……」  優しいのに、激しくて、何度も角度を変えて求め合えば、重なった唇の間からお互いの熱くて甘い吐息が度々漏れる。  刺激的なだけでなくて、心も身体も優しさに満たされるような快楽に浸っていく。  透さんが、俺の耳から首筋、鎖骨へと舌を這わせて、時々きつく吸いあげて、印を残していくのが嬉しい。 「…… もっと、いっぱい付けて、透さん……」  後で思い出したら絶対恥ずかしくて堪らなくなるのを分かってるのに、ついそんな事を口走っていた。 「…… 直くん、そんなに煽ったら、余裕なくなる…… っ……」  いつも余裕たっぷりの大人な透さんが、そんな事を言うから、なんか嬉しくなっちゃって、 俺は頭を起こして、透さんの首に腕を絡めて引き寄せて、形の良い綺麗な鎖骨を甘噛みしてみた。 「…… 直……、ッ、」透さんの唇から、俺の名と共に吐息が漏れる。  いつも『直くん』と、俺の名を呼ぶ透さんが、エッチの最中にだけ無意識に呼び捨てにしちゃう事は、前から気付いてた。  甘い声で呼ばれると、ぞくっとする。  もっと呼んで欲しくて、透さんの首筋に舌を這わせた。 「直……、ん……」  小さく声を漏らして、透さんは僅かに身を捩り、微かに白い喉が上下した。  首筋から、俺の大好きな鎖骨、そして程よい筋肉の付いた胸へと舌を這わせて、胸の突起をねっとりと舐め上げれば、髪に透さんの漏らした吐息が落ちてくる。  感じてくれてるのが嬉しくて、俺は更に調子にのって、透さんのベルトを素早く外してファスナーを下ろした。 「な、直くんっ?」  俺の行動に慌てたのか、また『直くん』に戻ってる。 「透さんの事、俺が気持ちよくしてあげたい」  そう言って、透さんのズボンに手をかけると、 「じゃ、一緒に気持ちよくなろう?」と言って、透さんも俺のベルトに手を伸ばしてきた。  お互いのズボンと下着を脱がし合い、ベッドの下に落として、少しの間だけ離れた体をすぐに引き寄せ合って、またキスをする。  ほんのちょっと離れただけでももどかしくて、思わず舌を伸ばせば、透さんの舌が空中で絡んで、柔らかく吸い上げる。  一時も離れたくない、ずっと触れ合っていたいと心から思う。

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