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—— 想う心と○○な味の……(53)
透さんと出逢ってから何度か身体を重ねても、相手の気持ちも自分の気持ちもあやふやで、いつもなんだか自信がなくて、不安で。
それでいて、快楽だけを 求めて、流されるままに、セックスして。
それが普通だと思っていたけど、今感じているこの感覚を、なんと呼べばいいんだろう。
心の中が温かくて、なんだか熱いものが込み上げて、気が付いたら涙が零れてて。
「…… 直?」
優しく名前を呼んで、零れた涙を唇で拭ってくれる。
「どうして泣いてるの?」
心配そうに見詰める瞳。
大丈夫だよ、心配しないで、ただ嬉しいだけだから。
「透さんと、ひとつになれて、幸せだなーって、思ったら、泣けてきた」
って、俺が言うと、中の透さんのものが、グンっと大きくなったのが分かった。
「…… 俺も幸せだよ」
そう言うと、またキスをして、ゆっくりと律動を始める。
ベッドの軋む音が、段々と早く激しくなっていく。
感じるあの場所を何度も攻められて、身体中を駆け巡る怖いくらいの快感に目の前が眩む。
「んっ、ああっ、ああー」
押し寄せる絶頂感に呑み込まれていく。
「…… っ、あっ……、透さ、んっ」
手を伸ばせば、指を絡ませてシーツに縫いとめられて、覆いかぶさってきた透さんの唇から、熱い吐息が零れ落ちた。
「直……、もしかして今、イッた?」
荒い息と共に少し余裕のない声。
「中がすごい収縮して、持っていかれそう……」
射精はしていない。
『ドライオーガズム』って、言葉を思い出したけど……。
「…… わ、かんなっ……」
言葉は最後まで言えなかった。 透さんに律動を再開されると敏感になっている身体は何度も絶頂の波に襲われる。
「…… っ、ああっ、あ、また、イきそーー」
「何度でもイっていいよ」
そう言って、艶然と微笑んでいたけど、
時々、顔に落ちてくる透さんの汗に、見上げれば、眉根を寄せて目を細めて、俺を見下ろしてる透さんの顔も余裕がなくなっていた。
「あぁ……、透さん…… っ、イくッ……」
でも俺ももう限界で、大きく体を震わせながら、透さんと俺の肌に熱い飛沫を飛び散らせて、
「直……っ、」
ほぼ同時くらいに、身体の奥で広がる熱を感じて、力の抜けた透さんの体が俺の上に落ちてきた。
荒い息を吐きながら、熱くて汗ばんだ身体を抱きしめ合って、何度も深く口づけて余韻に浸る。
—— ねえ、透さん、俺、本当に好きだと思える人に出逢えて、たとえ二度と逢えなくなったとしても……、出逢えた幸せを大切にしたい、なんて思ってたけど……、
でも、本当は……。
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